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そろばんで子どもの能力開発!アメリカ人の小学生も実感したそろばん学習のメリット

そろばんのススメ

先日、あるアメリカ人がFacebookに次のような問題を載せていました。

算数の計算問題

サクランボを半分にするというちょっとした引っかけはありますが、四則計算のルールを知っていれば、小学生にも簡単に解けるはずの問題です。(答えはこの記事のいちばん最後にあるよ!)

ところが、その問題の正答率は10%以下と悲惨なものでした。解答(返信)した人のほとんどはおそらくアメリカ人の大人です。

そこで思い出したのが、米軍基地内の小学校に勤務していた時に実感したことです。

日本にも算数に苦手意識のある子どもが少なくありませんが、アメリカ人の子どもの比ではありません。とにかく理解に時間がかかるのです。

ということで、この記事では日本人以上に算数に悩まされるアメリカの子どもたちにも効果があった、国籍を問わない、そろばん学習のメリットについて説明します。

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アメリカの子どもたちが日本人以上に算数に悩まされる理由

数字

日本人のほうがアメリカ人よりも算数を学びやすいのは、言語的な要因と文化的な要因のせいです。

数字の読み方

規則性

ご存じのように、日本語では数字の読み方に規則性があり、1~10(10個)の読み方さえ知っていれば、99まで簡単に読むことができます。

①2桁で2桁目(10の位)が1の10以外の数字(11~19)=10+1~9=じゅう・いち~じゅう・きゅう
②2桁で1桁目(1の位)が0の数字(20~90)=2~9x10=に・じゅう~きゅう・じゅう
③②以外の2桁の数字(21~99)=2~9x10+1~9=に・じゅう・いち~きゅう・じゅう・きゅう

一方、英語の場合、日本語よりも多く(28個)の数字の読み方を覚えないと99まで読むことができません。

①2桁で2桁目(10の位)が1の10以外の数字(11~19)=イレブン・トゥエルブ・サーティーン~ナインティーン
②2桁で1桁目(1の位)が0の数字(20~90)=トゥエンティ~ナインティ
③②以外の2桁の数字(21~99)=20+1~90+9=トゥエンティ・ワン~ナインティ・ナイン

つまり、言語学的に見て、日本語のほうが英語よりも数字(数の概念)を把握しやすいと言えます。

柔軟性

日本語では1~9までの数字を何通りものの読み方で表すことが可能です。

例えば、九九(1桁の数字同士の掛け算)を丸暗記するとき、

  • 3x6:さぶ・ろく
  • 8x8:はっ・ぱ

のように、3や8の読み方を「さぶ」や「は」「ぱ」に変えてリズムに乗せやすくし、「x」「=」は全く読みません。

けれど英語では数字の読み方が1通りしかないうえに、「x」「=」も省略しません。というより、九九を丸暗記するときは、普通フラッシュカードや九九表を使います。

おまじないやお経を唱えるように、リズム感のある音でも九九を覚えられる日本人のほうが、視覚に頼るしかないアメリカ人よりも早く掛け算をマスターできるのは間違いありません。

単位

数の単位

高さ・長さ・距離

日本は、高さにも長さにも距離にも同じ10進法の単位であるメートル法(mm・cm・m・km)を採用しています。

それに比べて、アメリカでは高さや短いものの長さを表す単位はフィート(ft)インチ(in)、長距離はマイル(mile)、短距離だとヤード(yard)と、高さ・長さ・距離を表す単位が数種類あります。しかも同じ単位でも、footとfeetのように、前につく数字次第で単数形と複数形を使い分ける必要があります。

さらに、

  • 1フィート=12インチ
  • 1ヤード=3フィート
  • 1マイル=1760ヤード

と、特に長距離だと何の何倍かがつかみにくいというデメリットがあります。

重さ・重量

日本で重さをはかるときの単位は、やはり10進法のグラム(g)キログラム(kg)ですが、アメリカではポンド(lb)・オンス(oz)を使います。

こちらも1ポンド=16オンスと、暗算での変換はほぼ無理でしょう。

通貨の種類と買い物の計算

2024年の時点で、日本とアメリカの主要通貨は以下の通りです。

日本1円玉・5円玉・10円玉・50円玉・100円玉・500円玉
千円札・五千円札・一万円札
アメリカ1セント(ペニー)・5セント(ニッケル)・10セント(ダイム)・
25セントクォーター)硬貨
1 ドル札・5 ドル札・10 ドル札・20 ドル札・50 ドル札・100 ドル札

*アメリカには50 セント硬貨や1 ドル硬貨もありますが、ほとんど流通していません。

*日本には2000年に発行された二千円札がありますが、2003年には製造中止となり、今は沖縄以外ではほとんど見かけなくなりました。

2国の主要通貨には、

  • 日本の通貨は「10進法の数字と10の半分の5で始まる数字」の2種類で構成されているが、アメリカの通貨には2つ(2で始まる数字100の4分の1にあたる25)の例外がある
  • アメリカの硬貨にはニックネームがある(金額を表す際に数字に変わって使われることがある)

という違いがあります。

実際に買い物するときはともかく、算数の時間にお金や加減計算について習うとき、どちらが簡単かは一目瞭然です。

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そろばん学習のおかげで算数好きになったアメリカ人の子どもたち

実は、青森、東京、神奈川、長崎、沖縄の米軍基地内にある小学校(DoDEA)は、40年以上にわたって年に1回、全国珠算教育連盟が主催する各地のそろばんコンテストに参加しています。

もともとは日本文化の1つとしてホストネーション(日本語・日本文化クラス)の授業に導入されたそろばんですが、

「算数の授業と違って計算するのが楽しい」

「大会があるなら出たいし、出るからには入賞したい」

と、週に1度放課後のクラブでも教えるようになりました。

そしてその結果「そろばん学習のおかげで、計算力が上がった・算数が好きになった」という児童が出始めたのです。

なお、コンテストで競うのは、

  • 見取り算
  • 英語読み上げ算

の2種類だけですが、モチベーションを上げるためにフラッシュ暗算のデモンストレーションも行っています。

\DoDEAのそろばんコンテストの様子をもっと見てみたい!(英語です)/

そろばんの基本

そろばんの珠

そもそもそろばんは、計算機ができるずっと前から使われてきた計算ツールです。

それも1度珠の動かし方を覚えてしまえば、指が勝手に答えを出してくれるという優れものです。

そろばんでできるもっとも初歩的な計算は、足し算と引き算です。

2桁以上の足し算や引き算をするときには、5になる数字の組み合わせと10になる数字の組み合わせに注目して、左(高い位)から右(低い位)に向かって1桁ずつ計算していきます。(ひっ算をするときとは動きが逆です。)

  • そろばんの珠は、それぞれ1か5で始まる数字を表している
  • 1桁の数字の足し算・引き算さえできれば、大きな桁の数字の計算が簡単にできるという考えは目新しい
    • 英語の数字の捉え方(読み方)は、例えば、11は10+1ではなく11という1つの塊、23なら20+3で、5か10になる数字の組み合わせという概念からかけ離れているため

そろばんを習ったアメリカ人の子どもたちの計算力が上がった理由は、まさにこの2つではないでしょうか。

なお、掛け算と割り算の珠の動かし方には、さらに九九が関わってきます。

Q
そろばんの二大産地と言えば?
A

島根県仁多郡奥出雲町地域の雲州そろばんと兵庫県小野市地域の播州そろばんが有名です。

Q
亀嵩そろばんが有名だと思ったんですが…。
A

亀嵩そろばんは、雲州そろばんの中でも、島根県仁多郡奥出雲町亀嵩にある亀嵩算盤合名会社で制作されたものを指します。
奥出雲町亀嵩出身の村上吉五郎が制作を始めたことから、公式HPには「雲州そろばん元祖」の文字が見られます。

そろばん学習が世界中の子どもたちに向いている理由

そろばんをする子供

アメリカ人の子どもたちの算数教育に、そろばんの計算の仕方というか日本的な数の捉え方がかなり役立つのはわかりましたが、日本の子どもたちにもそんなにメリットがあるんですか?

日本では、算数の成績をあげたくてそろばんを習っている人が多いようですが、アメリカを含め、海外ではそれ以外のメリットに注目してそろばんを習う人のほうが多いです。

そろばんのメリット

指先や手を使った動きを繰り返し行うそろばんは、右脳の活性化に打ってつけです。

そろばんのメリットの多くは、右脳の活性化によって、または活性化への過程で得られるさまざまな能力です。

特に脳神経がもっとも発達する幼児期にそろばんを習い始めると、メリットも享受しやすくなると考えられています。

算数嫌いにならない

過去10年以上にわたって、日本の小学生の嫌いな教科No.1は算数です。

子どもたちが算数を嫌いになるきっかけに、繰り上げ・繰り下がりでのつまずきがあります。

繰り上げ・繰り下がりでつまづいてしまう子どもたちの大半は、どうも数の概念がうまく理解できていないようです。

けれど、そろばんならその問題を比較的簡単に克服できます。

そろばんは珠の動きで数を表すため、数の概念を理解するのを視覚的に助けてくれます。

さらに、たとえ数の概念があやふやでも、指が自動的に答えを出してくれるので、ゲーム感覚で楽しめ、何度も繰り返したくなります。

しかもそうやって繰り返しているうちに、やがて根底にある数の概念に理解が追いついてくるのですから不思議です。

計算力・暗算力が向上する

そろばんは本来計算ツールなので、最もわかりやすいメリットはやはり計算力の向上です。

具体的には計算の正確性やスピードが上がります。算数学習はもとより、買い物でのおつり計算など、日常生活においても大いに役立つ能力です。

イメージ脳・記憶力が鍛えられる

私たちの記憶には、左脳による言語的な短期記憶と右脳による映像化された長期記憶があります。

計算をするときに使うのは普通左脳ですが、そろばん学習の中でもそろばん式暗算やフラッシュ暗算では、頭の中にイメージしたそろばんの珠を動かして答えを導き出すので、右脳を使います。

この右脳を使った記憶力は、左脳の記憶力の数千倍とも言われ、1度蓄積されると2度と消えないという話もあります。

そろばん式暗算やフラッシュ暗算をマスターすれば、様々な情報をイメージ化して記憶することが可能になる分、左脳だけの記憶よりも大きな記憶力を身につけることができます。

創造性・発想力が身につく

創造性や発想力は右脳から発生すると言われています。

先ほど紹介したそろばんを使わないそろばん式暗算やフラッシュ暗算は間違いなく右脳を刺激しますが、常に指先でそろばんの珠をはじく動作だけにも、右脳を活性化させる働きがあることが科学的に証明されています。

参考資料:「右脳開発における珠算教育のあり方について

集中力が養われる

そろばんの検定試験に合格するには、①数字を認識し、②その数字を実際の、あるいはイメージ上のそろばんに、素早く正確に珠を動かして投影し、③最終的に出た数字を解答用紙に記入するという一連の動作を、制限時間内に、最低でも合格に必要な問題の数だけ繰り返さなければなりません。

また、練習の際も試験を想定して、意識を集中させ続ける必要があります。

そろばんの学習者は、こうして集中力を養っていきます。

我慢強くなる

そろばんの上達には、同じような問題を繰り返し練習することが不可欠です。

ただ、誰しも同じ問題で何度も間違ったり、目標にして頑張っていた検定試験に落ちたりと、困難にぶつかることがあるでしょう。

それを乗り越え、あきらめずに長期的に練習を継続できるようになった人には、成功の喜びだけでなく、我慢強さや忍耐力というご褒美も待っています。

情報処理能力が上がる

そろばんでは、正確に読み取った・聞き取った数字(インプット)を右脳で処理し、左脳で数字情報に変換する(アウトプット)という情報処理作業を瞬時に行っています。

この作業を繰り返し実行し続けることが、そろばん以外の場面での情報処理能力の向上につながります。

自己肯定感が高まる

そろばんでは、小さな目標を達成しやすく、成功体験を積み重ねることができます。

また、そろばん学習で得られる様々な能力のおかげで、算数に限らず、あらゆる教科で成績が伸びるでしょう。

こういった成功体験の積み重ねや学校での成績アップは、子どもたちに喜びと自信を与え、自己肯定感を高める結果につながっていくでしょう。

まとめ

現在の学校では、言語や計算力、論理的思考をつかさどる左脳の発達を促すカリキュラムが中心です。

けれど、子どもたちの能力を最大限引き出すには、知覚や感性をつかさどる右脳も使って、左右両方の脳をバランスよく鍛える必要があります。

「この超ハイテクの時代にそろばん?」と思われるかもしれませんが、そろばんは手軽に右脳が鍛えられる「右脳トレーニングツール」であり、上述したように21世紀型スキルの育成に役立ちます。

なお、そろばんの操作はYoutubeなどで独学でも学べますが、それでどこまで能力が開発されるかは疑問です。

特にそろばん式暗算やフラッシュ暗算は、プロの指導者の手を借りないとほぼ身につかないでしょう。

*そろばんの上達にも、右脳の活性化によって開発される能力にも個人差があります。

そろばん教室を探したい!/

国内には様々な珠算団体があり、習える種目や検定に違いがあります。詳細はそれぞれの団体の公式ページでご確認ください。(全国のそろばん教室の連絡先も見つかります。)

おまけ:Facebookの問題の答え

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