みなさんは「クラスルームイングリッシュ」と聞くと、どんな表現を思い浮かべますか。
小学校で使う「クラスルーム・イングリッシュ」なら、文部科学省の『小学校外国語活動・外国語 ガイドブック』にリストが載っています。
けれど幼稚園となると話が違います。
米軍基地内の幼稚園で使われているクラスルームイングリッシュの中には、辞書にも載っていないようなユニークな表現がたくさんありました。
Single file
【Single file】
縦一列に並ぶ。
初めて聞いたときは「基地内の幼稚園だけあって、園児への指示までミリタリー調なんだ!」と思いましたが、ミリタリー限定の表現というわけではなさそうです。
「並んで」と言う場合「Line up」でも十分ですが、「縦一列」を強調したいなら「Line up single file」「Single file (please)」のように言います。
私ならSingle lineって言っちゃいそう。
「Single line」は間違った表現で使えません。
Caboose
【Caboose】
列の一番後ろ・最後尾(につく子ども)。
辞書でCabooseをひくと「車掌車」とあります。長い貨物列車の一番後ろが車掌車だったことから、子どもたちの作る列を電車に見立てて、最後尾(につく子ども)のことをCabooseと呼ぶようです。
このCaboose、米軍基地内の幼稚園児には大人気でした。例えば音楽室から自分たちの教室へ(もちろんSingle fileで)帰るとき、
Who wanna be the caboose?(一番後ろになりたい人?)
と、きかれようものなら、一斉に手が上がります。
アメリカの幼稚園では子どもたちに責任感を持たせるために、ちょっとしたした仕事を与えます。(日本の学校の日直とか○○係のような感じでしょうか。)整列に関してはほかにもLine leader(列の先頭)やDoor holder(ドアを押さえる係)の仕事があり、こちらもcaboose同様、なりたい子どもたちでいっぱいでした。
Ducktail
【Ducktail】
(あひるのしっぽのように)両手を後ろに回す。
子どもたちはありとあらゆるものを触ろうとします。Single fileで並んでいるとき、前や後ろの子にちょっかいを出させないように、よく「Ducktail(手は後ろ)」を使います。カルガモのヒナが廊下を行進してるみたいです。
Bubble in your month
【Bubble in your month】
(口の中に大きな泡を入れたようにほっぺたを膨らませて)口を閉じる・静かにする。
Bubble in your mouthは子どもたちを静かにさせるときに使います。おしゃべりを注意する代わりに、フグのまねみたいな顔をすることで自動的に口を閉じさせるというのは、子どもたちの心を傷つけないうまいやり方だと思います。
Scribble-scrabble
【Scribble-scrabble】
ぐじゃぐじゃ。
ぬり絵のとき、線からはみ出て色を塗ったり、紙に意味のない線を書きなぐっている子どもに、
Don’t scribble-scrabble!(ぐじゃぐじゃはダメよ!)
のように言います。
Scribble-scrabbleって2つの言葉が韻を踏んでますよね。
ラップもそうですが、同じ音(韻)を繰り返すと、言葉にリズムが生まれて耳に残りやすくなります。
日本人は5-7-5、アメリカ人はラップっぽいフレーズに心地よさを感じるようです。
Crisscross applesauce
【Crisscross applesauce】
胡坐をかく。脚を組んで座る。
Crisscrossだけで「胡坐」の意味があるというのに、わざわざ後ろにApplesauceがついています。リズムをよくするためにくっ付けた言葉なので、Applesauceに意味はありません。
日本だとベビーフードや病人食として食べるくらいのApplesauceも、アメリカでは子どもに定番のおやつです。Crisscrossと同じ音を持つたくさんの言葉の中からApplesauceが選ばれたのは、子どもたちにとって身近な存在だからなのかもしれませんね。
幼稚園で使うラップ調のフレーズの中には、より一般的なものもありますよね。
See you later alligator, after a while crocodile.(じゃあ、またね)
Easy peasy, lemon squeezy.(簡単!)
Eyes on me
【Eyes on me】
こちら(私)に目を向ける。見る。
相手がひとりの場合には「Look at me.」を使いますが、クラス全体の注意を自分(教師)に向けたいときには、「1,2,(3)…Eyes on me!」と言い、それに対して子どもたちは合言葉のように「1,2,(3)…Eyes on you!」と返します。
その他の表現
Bubble in you mouthもそうですが、幼稚園のクラスルームイングリッシュには子どもを直接注意するのではなく、からだのパーツなどを使って間接的に注意する表現が多いです。
【Listening ears】
聞く耳を持つ。聞く。
【Walking feet】
歩く。走らない。
【Inside voice】
静かに話す。大声で話さない。
いずれも悪いのは「耳」であり「足」であり「声」で、「子ども」ではありません。
たとえ教師が声を荒げたわけではなくても、注意をされて子どもが泣いたとわかると「うちの子に怒鳴った」と苦情を言ってくる保護者がいます。子どもを直接責めない言い方には、結果的にモンスターペアレンツを黙らせる効果もあると言えるでしょう。
以上、英語の本場、アメリカの幼稚園で使われるクラスルームイングリッシュをいくつか紹介しました。
日本では今、身体に悪いからと「体育座り」をやめる学校が増えてきています。Crisscross applesauceだけでなく、子どもをいたわる表現の多い幼稚園のクラスルームイングリッシュは、日本の小学校でも有効だと思います。
また、クラスルームイングリッシュに限らず、子どもを注意する際、日本語でも間接的な表現を使ってみるといいかもしれません。今までだったらふてくされたり、いじけていた子どもたちが、案外すんなりと言うことをきいてくれるかもしれませんよ。
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