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日本語・日本文化教育プログラムの元指導主事直伝!米軍基地内の学校で日本語を教えるのに必要な資格・条件とは?

Q&A on Base teaching job

今回は米軍基地で働きたい人の中でも、学校で日本語を教えたいという人向けに、応募資格や条件について説明します。

日本語・日本文化教育プログラムの教師の採用に、指導主事として約10年関わって著者だからこその視点から、採用する側が重視するポイントについても紹介します。

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米軍基地内の日本語教師職

米軍基地内には、対象となる日本語学習者の年齢に応じて、3種類の日本語教師がいます。

  • 大人(軍人・軍属)対象
  • 基地内大学の大学生対象
  • 児童・生徒(幼稚園児~高校生)対象

このうち、今回ご紹介するのは「児童・生徒(幼稚園児~高校生)を対象とする日本語教師」の資格や条件についてです。

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DoDEAの日本語教師

DoDEA Host Nation Classroom

DoDEA」 (Department of Defense Educational Activitiesの略、ドーディアと読みます)とは、米国国防省教育局傘下の教育組織・機関の総称です。

日本には米軍基地内に小学校(幼稚園含む)19校、中学校6校、中高一貫校3校。高校5校の計33校のDoDEAスクールがあります。

そしてこれら33のDoDEAスクールには、アメリカ人のJapanese Language Teacherと日本人のHost Nation Teacher(Japanese Culture & Language Teacher)の2種類の日本語教育関係の教師がいます。

基地の所在地Host Nation Teacherの数
青森2(小学校)
東京4(小学校:3、中学校:1)
神奈川8(小学校:6、中学校:2、高校:1)
山口3(小学校:2,中学校1)
長崎3(小学校:2,中高一貫校:1)
沖縄15(小学校:12、中学校:3)
35名
2023年11月時点

ところで、たくさんの人が誤解していらっしゃいますが、厳密に言うと、Host Nation Teacherは日本語教師ではありません。

DoDEAにはHost Nation Studiesというプログラムがあり、Standards(学習指導要領のようなもの)に沿って、DoDEA の小学生が自分たちのいる国(ホストネーション)の文化と言語について認識し、理解を深められる手助けするのがHost Nation Teacherの仕事です。

上表からわかるように、2023年11月の時点でHost Nation Teacherのポジションは全国で35しかありません。

このうち、神奈川の高校と長崎の中高一貫校の2つのポジションは、現在在職中のHost Nation Teacherが離職した後はアメリカ人のJapanese Language Teacherに取って代わられることが確定しています。

これはアメリカの高校が単位制であることに関連しており、DoDEAでは「大学進学に必要な単位を取るためのクラスはアメリカ国籍を持つ教師が教えるが原則」だからです。

最近では中学で高校の単位を取り始める生徒も多く、中学や中高一貫校で教えているHost Nation Teacherの中にはJapanese Language Teacherを兼任している人もいます。

したがって、神奈川・長崎以外の中学・中学一貫校のHost Nation Teacherが離職した際にも、下手をするとHost Nation Teacherのポジションがアメリカ人のJapanese Language Teacherのポジションに変わる可能性があります。

また、生徒数の減少により、本来必要とされているよりも多いHost Nation Teacherを有している小学校が数校あり、そういった学校では現Host Nation Teacherが離職した場合、そのポジションを教職から別の職種(事務員など)に変えてしまうので、そこでもHost Nation Teacherの数は減りつつあります。

そしてさらに言えば、Host Nation Teacherには定年後も働き続ける人が多いのですが、2021年に改正された「高年齢者雇用安定法」のおかげで、近々退職する予定だった人たちが70歳まで契約を延長する傾向も見られます。

要するに、Host Nation Teacherへの道は狭く、果てしなく長くなる可能性が高いと言えるでしょう。

Host Nation Teacher職への応募条件・資格

応募用紙サンプル

それでもゼロではない可能性に賭けたいという人のために、ここ数年のHost Nation Teacher職への基本的な応募条件・資格についてまとめてみました。

年齢~60歳
英語力語学能力級:3
 TOEIC:730~
 ALCPT:90~(2016年以前であれば76点~)
 TOEFL(PBT):550~
 TOEFL(CBT):210~
 TOEFL(iBT):80~
 CASEC:87~
 英検:準1級~
資格四大卒以上
幼・小・中・高いずれかの教員免許があるほうが望ましい
技能日本文化(そろばん・書道など)に精通しているほうが望ましい
授業を計画・実施できる
コンピュータースキル(文書作成・表計算など)が高いほうが望ましい
渉外経験やコミュニティイベントの企画・運営・開催経験があるとよい
経験教師としての実務経験があるほうが望ましい
海外経験があるほうが望ましい
証明書卒業証書
あれば教員免許状
英語力の証明書
あれば日本語教師有資格(検定合格/420時間講座修了等)証
その他軍属の家族(SOFA)は、新規での雇用は不可
応募者を基地内の従業員にのみ限定する場合がある

年齢制限:日米政府間の労務提供契約に基づいたものです。

英語力:雇用課が設定した条件であり、能力の証明に関しても、上記以外の語学力証明は受け付け不可。

条件を満たしていないと、面接に進めません。

資格:DoDEAスクールはK-12(幼稚園から12年生)なので、教員の資格には幼稚園教諭も含まれます。また、教科は体育でも商業でも何でも構いません

*過去数十年にわたって、何らかの教員免許が必須でしたが、最新の求人(横田基地の小学校)では要求されませんでした。

技能:Host Nation Teacherの仕事はDoDEAのスタンダードに沿って日本語・日本文化について学ぶ機会を与えることなので、日本文化に関する技能に精通していることは面接の際、プラスに働きます

加えて、DoDEAではインタラクティブボードやデジタルコンテンツを利用した授業・研修が当たり前なうえに、Host Nation プログラムでは教科書も教材もすべて教師が手作りしなければならないので、コンピューター関連のスキルがないと、仕事についていくのが大変です。

経験:ここで言う「教師」とは「児童・生徒を対象とする国内外の学校の教師」のことで、教師としての経験があるほうがいいのは、クラスマネージメントスキルがある可能性が高いからです。

実際、18歳以上が対象の日本語学校での講師経験は重要ではなく、むしろ日本語教育を重視しすぎた教授法が現場でマイナスに働くこともあります。(過去には日本語学校での講師経験を引きずったことが原因で、1度は採用されたものの、試用期間終了後、本採用に至らなかった人もいます。)

なお、面接でのポイントが高いのは、海外の学校での教職経験です。

だとすれば、収入のためというより経験のために、国際交流基金や海外青年協力隊などを通じて、まずは海外の小・中・高校で日本語や日本文化を教えてみてはいかがでしょうか。

ビデオの前半で学校の様子を見ることができます。英語でのインタビュー部分以外はベトナム語なので、何を言っているのかはさっぱりわかりませんが…。

証明書日本語教師の資格(検定合格/420時間講座修了等)は必須ではありません
   

Host Nation Teacherに求められるその他の資質・条件

  • 即戦力
    基地内の仕事はどれもそうですが、DoDEAでもすぐに使える・・・人材を求めています。
    学年度の初めに採用されるとも、研修期間があるとも限らないので、採用されたその日からでも授業ができるように、採用が確定したら、あらかじめDoDEAのスタンダードに目を通しておくといいでしょう。
  • 21世紀型スキル
    • 創造性:授業に必要な教材等は教師が用意するしかありません。
    • 批判的思考と問題解決能力:物事を多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解する力や問題の原因を分析、情報を収集し、現実的で的確な解決策を見つけて解決する力が必要です。同僚や上司の助力を仰ぐのも大切ですが、同じくらい自主性・主体性をもって物事に取り組むことが大切です。
    • コミュニケーション能力と協調性:日本人・アメリカ人の同僚、上司、児童・生徒、保護者と円滑にコミュニケーションが図れることは、英会話力があること以上に重要です。
      また、DoDEAでは協働が推奨されています。
    • 向上力:定期的に研修が行われ、常に新しい知識やスキルを身につける必要があります。
    • テクノロジーの利用力:21世紀はデジタル社会です。「子どもたちについていくのがやっと」ではいい授業は成り立ちません。

採用面接

面接には、応募者数にもよりますが、人事課のスクリーニングを通過した人の中から、1~10名ほどが呼ばれます。

その際、書類を精査してだれを面接するのか決めるのは、校長です。(指導主事がアドバイスすることもあります。)

面接に立ち会うのは3~5名で、校長、(いれば)副校長、日本語・日本文化プログラム指導主事、アメリカ人教師、(いれば)同僚になる予定のHost Nation Teacherという組み合わせが多いです。

質問は、一般的な質問(2~4問)+教育分野に関する質問(6~8問)程度です。英語での質疑応答が基本ですが、英語(特に専門用語)が理解できない応募者には日本人の面接官が通訳をすることもあります。

教育分野に関する質問は、その時点でDoDEAが採用している・または力を入れている指導法や教育理念に関係したものになる可能性が高いです。

Host Nation Teacherになりたいなら、少なくとも1度はDoDEAのホームページを覗いてみましょう。

一応、すべての面接参加者の採点や意見も考慮には入れられますが、最終的な判断(採用者の決定権)は校長に委ねられています。

Host Nation Teacher採用最新情報

今月いっぱいで退職する先生に変わって、横田基地に新たなHost Nation Teacherが配属されるようです。(2023年11月現在)

実際の募集案内はこちらから。

*募集はすでに終わっています。
*資格・技能・職務内容は学校ごとに少しずつ変わる可能性があります。

19名の応募があり、9名が面接に進めたとか。

個人情報の問題があるので、合格者の詳細は書けませんが、今回の採用では「海外経験あり」「コミュニケーション能力と協調性」「コミュニティとのかかわり(渉外経験)」が決め手だったようです。

最後に

米軍基地内の学校で日本語を教えたい人は多いと思いますが、Host Nation Teacherに限って言えば、その職への門はなかなか開きそうもないのが現状です。

同じ米軍基地内の日本語教師職でも大人向け(臨時や短期のものが多い)でよければ、割と頻繁に募集が出ているようなので、「米軍基地 日本語教師」等で検索してみてください。

ただし、こちらは日本語教育の有資格者か経験者が条件のようです。

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いずれにせよ、いつ募集がかかってもいいように、海外の学校でボランティア的に日本語を教えるプログラムに参加して、経験を積んでおくといいでしょう。

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