コージーミステリーとは、「小さなコミュニティーの日常的な場面で起こった事件を、その地域や住民をよく知っているがゆえに、捜査関係者を差し置いて素人探偵が解決する」タイプのミステリーです。
「コージー(cozy)」というだけあって、全体的に明るさや軽さ、心地よさが際立ち、性的・暴力的な描写が少ないので、暗く重い雰囲気に包まれた、謎解きがメインのハードボイルドとは対極に位置します。
さて、今回ご紹介するのは、そんなコージーミステリーがテーマの海外ドラマです。
感じとしては、「火曜サスペンス劇場」「金曜プレステージ」「土曜ワイド劇場」で放映された、ひと昔前の2時間サスペンスが近いと思います。
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おすすめのコージーミステリードラマ
独断と偏見によるおすすめ度付き!
『エイミー教授のミステリー講座』
エルムステッド大学の名誉教授で有名なミステリー作家でもある父親の跡を継ぎ、同大学でミステリー講座を受け持つ英文学部教授のエイミー。
教え子が行方不明になったのをきっかけに、ミステリーの専門家としての知識を生かして、ミステリー小説をまったく読まないハンサムな刑事トラヴィスとともに事件解決に挑む。
ミステリーファンにはお馴染みの作品や作家、キャラクターが頻繁に会話に登場するので、コージーミステリーは初めてという人にも入門ドラマとして打ってつけのシリーズ。
思わせぶりなところでシーズン1が終わったにもかかわらず、シーズン2の制作が打ち切りになったのが残念。
脚本:ロビン・バーンハイムほか
おすすめ度:★★★★☆
『図書館司書探偵オーロラ』
オーロラ(ロー)は、ジョージア州ローレンストンで図書館司書として働きながら、私生活では実際に起こった犯罪について考察する「リアル犯罪クラブ」の会長を務めている。
そんな彼女の元同僚でクラブメンバーでもある高齢の独身女性が亡くなり、全財産を相続したローだが、遺産の中には穴の開いた頭蓋骨と殺人事件の謎も含まれていた。
身近に起きる殺人事件には首を突っ込まずにはいられないローが、親友で新聞記者のサリーを始めとするリアル犯罪クラブのメンバーの力を借りて真相解明に乗り出すドタバタミステリー。シリーズの中盤からは元CIAのマーティンがパートナーに。
女性向けのミステリードラマを放送している専門チャンネルで人気を博したロングランシリーズ。
主役のローは『フルハウス』でD・J・タナー役を務めたキャンディス・キャメロン・ブレ。
原作:シャーレイン・ハリス
おすすめ度:★★★☆☆
『フォトグラファーは名探偵』
ロードアイランド州の小さな町でフォトスタジオを営むかたわら、結婚式やパーティーなどの撮影であちこち飛び回っているカメラマンのアリー。
仕事で列席していた友人の結婚披露宴で新郎が殺害され、自身の兄が容疑者となったことから、独自に真犯人を捜し出そうとする。
担当刑事のサムは、始めは何かと捜査に干渉してくるアリーを疎ましく思ったものの、次第にカメラマンとしての観察眼をもつ彼女を信頼するようになり、非公式な相棒として一緒に事件解決を目指す。
ドラマの中でバディを組むアリー役のアレクサ・ペナベガとサム役のカルロス・ペナベガは、実生活では夫婦という組み合わせ。
脚本:ウォルター・クレンハードほか
おすすめ度:★★★☆☆
『考古学探偵エマ』
考古学者で大学教授のエマが、古美術関連の犯罪担当のFBI捜査官コナーの助けを借りて殺人事件の謎を解き明かすシリーズ。
メイン州沿岸の17世紀の入植地の証拠を探して学生たちと発掘調査を行っていた際、土の中から最近埋められたと思しき遺体が見つかったことで、殺人事件の捜査に巻き込まれてしまうエマ。
原作者が考古学者であるにもかかわらず、考古学に関するうんちくや遺跡発掘といったシーンは少なく、仕事関係の軋轢やエマとコナーの発展しそうで発展しきれないロマンスといったコージーミステリーの王道的な場面が多い。
『アリー my Love』でも有名なコートニー・ソーン=スミスが主演。
原作:ダナ・キャメロン
おすすめ度:★★★☆☆
『リフォーム探偵シャノン』
ライトハウス・コーヴというリゾート地を舞台に、リノベーションの専門家であるシャノンが、頼りにならない警察の代わりに、近隣の住民の秘密を暴き、事件を解決していく。
相棒となるのは、犯罪記者でベストセラー作家のハンサムなマック。
購入したばかりの古い豪邸のリフォームをシャノンに依頼したのが縁で、改修作業が終わるまでシャノン家の敷地内にあるコテージに滞在することになり、犯罪に関する知識とともにシャノンをサポートする立場に。
シャノン役のジュエルは、グラミー賞にもノミネート経験のあるシンガー・ソングライター。
初回のエピソードでギターの弾き語りと一緒に披露された歌は、さすがと言える心に響く一曲。
原作:ケイト・カーライル
おすすめ度:★★★★☆
『グルメ探偵ヘンリー』
サンフランシスコを舞台に、カリスマ料理コンサルタントのヘンリーが、シングルマザーでワーカホリックな刑事マギーと一緒に殺人事件に挑むグルメミステリー。
ただし、料理にまつわるシーンはそれほど多くなく、人気ブログ「グルメ探偵」こそ書いているものの、殺人事件とは無縁だったダンディーな優男ヘンリーと、始めは彼のことを鼻にもかけていなかったクールビューティのマギーが、事件解決を通して次第にひかれあっていくロマンチックミステリーでもある。
このシリーズでは、ヘンリー役のディラン・ニールと妻のベッキー・サウスウェルが脚本を担当し、エグゼクティブプロデューサーも務めている。
原作:ピーター・キング
おすすめ度:★★★☆☆
『ガレージセール・ミステリー アンティーク探偵ジェニファー』
ガレージセールにおけるお宝探しのプロで、友人とともにアンティークショップを経営するジェニファーの周りで事件発生。
ミステリーマニアのジェニファーは、ミステリーに関する知識に加え、優れた観察眼と行動力でもって事件を解決に導く。
夫婦仲は円満、仕事は順調、子どもたちもいい子ぞろい、担当の刑事との関係も良好と、ほのぼの系のホームドラマ的要素が満載のミステリー。
主役のジェニファーを演じるのは、『フルハウス』のベッキー役で有名なロリ・ロックリン。
原作:スージー・ワイナート
おすすめ度:★★★☆☆
『赤毛探偵ルビー』
シアトルのテレビ局で情報番組の人気リポーターを務めるルビー。
担当は生活情報だが、伝説の事件記者だった父の影響で、好奇心旺盛なルビーはどんな種類の謎もそのまま放っておくことができない。
妹の結婚式のために訪れたリゾートホテルでも、母親の友人であり、有名なパティシエでもあった女性の死に疑問を抱き、持ち前の調査能力を駆使して事件を解決していく。
そんなルビーの行動力に戸惑いながらも、非公式のバディとして行動を共にするのが、最近ニューヨークから転勤してきたばかりの刑事ジェイク。
立場も性格も物事へのアプローチの仕方もまるで異なる二人は、互いに協力して事件を解決するうちにひかれあっていく。
脚本:アンドレア・カニングほか
おすすめ度:★★★☆☆
『郵便探偵ロストレターズ・ミステリー』
アメリカ合衆国郵便公社の遺失郵便課(DLO:Dead Letters Office)に属する局員4名が、宛名が破れたり、読み取れない配達不可能の手紙や小包を、しかるべき受取人に届けるために奔走するドラマ。
郵便探偵チームのリーダーはかなり古風な郵便物愛好家のオリバー。
そこに完全記憶を持ちながらも夢見る少女的なリタと調査の達人でシャイなノーマン、さらにもとはと言えば手違いで配属されたテクノロジーマニアのシェーンが加わったおかげで、チームは未配達の郵便物に隠された謎を解き、人命を救い、犯罪を解決し、愛をよみがえらせ、ひいては受取人たちの未来をも変えていくことになる。
チーム内の恋模様からも目が離せないロマンチックでハートフルなミステリー。
原案・脚本:マーサ・ウィリアムソン
おすすめ度:★★★★☆
『ミステリー IN 上海 Miss Sの探偵ファイル』
(厳密に言うと、なり立てほやほやの探偵が主人公なので、素人探偵とは言えませんが…。)
オーストラリアの人気ドラマ『ミス・フィッシャーの殺人ミステリー』の中国版リメイク。
1934年、パリから上海に帰国した令嬢スー・ウェンリー。
上海で初となる女性探偵社を立ち上げ、美貌と財力、鋭い洞察力と行動力に加え、中央警察のルオ警部の力も借りて、謎めいた事件を解決していく。
ドラマは2話完結の形で事件解決に至るが、ウェンリーがそもそも探偵社を立ち上げるに至った理由でもあろう妹の失踪事件が伏線として張られており、シリーズの最後まで目が離せない。
ウェンリーとルオ警部の恋の行方や古い時代の華やかな上海ファッション、華洋折衷の文化も見どころの1つ。
原作:ケリー・グリーンウッド『令嬢探偵ミス・フィッシャー 華麗なる最初の事件 (mirabooks)』
おすすめ度:★★★★★
『ヴィオラ シチリア島のミステリー』
2022年「イタリアでもっとも視聴率の高かったドラマ」であり、「Googleで最も検索されたイタリアのTVシリーズ」。
パリでファッション誌のジャーナリストをしていた、元ミス・イタリアのヴィオラ。
遺伝性の神経性疾患の治療法を求め、たった1枚の古い写真を頼りに、どこの誰かもわからない父親を探すためにシチリア島でウェブニュースの事件記者としての職を得ると、病気の症状の1つである共感覚を手掛かりに、刑事のフランチェスコと様々な事件の謎を解き明かしていく。
果たして自身の父親にまつわる謎は解明できるのか。そしてときにぶつかり、ときに互いを思いやる二人の関係はどう変化していくのか。
毎回エピソードの最初と最後に事件記事という形で語られる人生の真義のような教訓のような言葉には、コージーを越えた深さがある。
ヴィオラ役のフランチェスカ・キッレーミは、役柄の上だけでなく、実生活でも元ミス・イタリアの座に輝いた美女。
一方フランチェスコ役のジャン・ヤマンは「世界で最もハンサムな顔100人」にも選ばれたトルコ人俳優。
脚本:エレナ・ブカッチョ、シルヴィア・レウツィ ほか
おすすめ度:★★★★★
まとめ
ビブリオマニアで活字中毒の私は、ミステリーもまずは本で読みます。
読んでいる間に、自分で登場人物を勝手に想像しているので、そのミステリーを原作にした映画やドラマは基本的に見ません。(自分の想像と出演者のイメージが合わないとがっかりするでしょうし、始めから犯人もわかっているので。)
その点、今回ご紹介した海外コージーミステリードラマは、11作品中5作品に原作の小説がなく、原作のある6作品のうち、日本語に翻訳されているのは、『ミステリー IN 上海 Miss Sの探偵ファイル』の1作品だけです。
*厳密にはリメイク前の『ミス・フィッシャーの殺人ミステリー』のもとになった『令嬢探偵ミス・フィッシャー 華麗なる最初の事件 (mirabooks)』が翻訳されているだけです。
言い換えれば、せっかく海外に面白いコージーミステリーがあったにもかかわらず、ドラマになっていなければ、知らずじまいだったわけです。
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ミステリードラマに限って言えば、コージー系よりも本格派が多い気がします。
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