節分と言えば、やはり豆まきでしょう。
ひと昔前なら、「鬼の面を作る」→「豆まきをする」→「豆を食べる」といった一連のアクティビティを、幼稚園や小学校、またはおうちで普通に楽しむことができました。
けれど今はそういうわけにもいきません。
\この記事を読んでわかること/
- 節分にまつわるうんちく
- 豆まきに関する「ちょっと待った!」
- 子ども向け節分アクティビティ
節分にまつわるうんちく
節分とは
「節分」というのは「季節を分ける日」のことです。
四季のある日本では元々「立春」「立夏」「立秋」「立冬」それぞれの前日(年に4日)を節分と呼んでいました。
それが、次第に旧暦の新年に近い「立春」を1年の始まりと捉えて、その前日(つまり大晦日)の2月3日前後の日だけを節分と呼ぶようになりました。
Groundhog day(グラウンドホッグ・デー)
節分とほぼ同じ日(正確には毎年2月2日)に、アメリカやカナダではグラウンドホッグ(地リス)を使って、春の訪れを予想するお天気占いが行われます。
冬眠から目覚めたグラウンドホッグが自分の影を見れば春の訪れは遅く、あと6週間は冬の気候が続くだろうと言われています。
節分の儀式:豆まき
季節の変わり目というのは、とかく体調を崩しやすいものです。
そこで、平安のころには陰陽師の手によって、旧年の厄や邪気を払い、新年の無病息災を願う「追儺」の儀式が、室町に入ると平民の間でも悪鬼を追い払う「豆まき」が、節分の風習として広まったと言われています。
昔は豆に限らず、いろいろな穀物が鬼払いに使われていました。これは穀物を撒くことで幸せが呼び込めると考えられていたからです。(結婚式のライスシャワーにも同様の意味があります。)
それが現代のように豆(大豆)が主流になったのは、
- 神様のお告げで大豆を鬼の目に投げつけて鬼を退治したという逸話
- 「まめ=魔を滅する」
- 「まめ=魔(鬼)の目」
- 五穀の中でも大豆がいちばん強くて大きい
などの理由からだとか。
因みに、
- 陰陽五行説では「金」にあたる鬼の作用を封じるのは「火」
- 「豆を炒る=魔目を射る」のごろ合わせ
- 生の豆だと、拾い忘れた豆から芽が出てくるかもしれず、「魔が芽を出す」と縁起が悪い
ということで、撒くのは炒った豆に限ります。
余談ですが、出雲の方言では「まめ=健康」の意味があります。
豆まきでは「鬼は外」と言いながら、家の外に向かって豆をまき、「福は内」と言いながら、家の中に向かって豆をまきます。
撒き終わったあとは、再び鬼が入ってこないように、入ってきた福を逃さないようにしっかりと戸締りをします。
そして締めくくりに年の数だけ(地域によっては年の数+1個)の豆を食べれば、鬼を完全に退治したことになり、新たな年も健康に過ごせるというわけです。
豆まきの鬼
本来「鬼」というのは「人に災いを招くもの」を意味します。
そういう意味で、豆まきによって追い払いたいのは間違いなく鬼です。
けれど、実体のないものを追い払うことはできません。
そこで、民話や昔話に出てくる妖怪が登場する運びとなります。
「鬼のパンツ」という歌を聞いたことはありませんか。
♪ 虎の毛皮でできている~
鬼は鬼門(丑寅の方角=北東)にいるものと考えられています。
このことから、鬼は牛の角と虎の牙、虎の皮の服を身につけた姿で描かれることが多いです。
なお、鬼の色は赤や青が有名ですが、他にも黄色、緑、黒があり、それぞれに意味を持っています。
- 赤鬼:欲望
- 青鬼:怒り
- 黄鬼:甘え
- 緑鬼:倦怠
- 黒鬼:疑心
ところで、恐ろしいもの、強いもの、超人的なものの象徴でもある鬼ですが、無敵ではありません。
豆まきに使う炒った大豆のほかにも、イワシの臭さと葉先のとがったヒイラギが苦手とされています。
ヒイラギというと、クリスマスの飾りとしても有名ですが、実は西洋でもヒイラギには魔よけの力があると考えられています。
豆まきに関する注意事項
鬼の面をかぶる
海外の子どもたちに節分の紹介をする際、気をつけたいのが鬼の面作りです。
10年くらい前のことですが、米軍基地内の幼稚園・小学校で子どもたちに鬼の面を作らせたところ、保護者からクレームが来たという先生がいました。
「鬼」の英訳は「ogre」が一般的ですが、「evil (邪悪)」とか「devil(悪魔)」と訳されることもあります。
うちの子に、そんなもののマスクをかぶらせるってどういうことよ!?
たとえもう少しかわい気のある「monster」と訳したところで、保護者の中にはポケモンすらダメという人もいます。
「百聞は一見に如かず、百見は一体験に如かず」というつもりで鬼の面作りをしたのでしょうが、作ればかぶりたくなるのが子ども心というもの。
どうしてもお面を作って自宅でも節分を体験してほしいのであれば、福の神のほうをお勧めします。
豆をまく
庭付きの一戸建てに住んでいて、豆まきは自宅の敷地内でだけというのであれば、何の問題もありません。
けれど、アパートやマンション、庭のない家に住んでいる場合、豆をまくのは自宅内に限定したほうがいいでしょう。
「アパートの廊下や公道に落ちていた豆で滑って転んだ」
「高層マンションの上階の窓から外に向かって投げた豆が、たまたま下を通りかかった人にぶつかった」
どちらも福を呼び込むどころか、警察を招くことになりかねません。
福豆や恵方巻を食べる
消費者庁では「子ども安全メール from 消費者庁」内の「Vol.617 節分は窒息・誤嚥に注意! 硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!」で、節分のときに口にする可能性が高い福豆や恵方巻に関して注意喚起を行っています。
実際、どちらの食品も窒息や誤嚥だけでなく、アナフィラキシーショックといったアレルギー反応を引き起こす危険性を秘めています。
無病息災を願う風習のはずが、緊急手術や入院する羽目になったら、本末転倒もいいところです。
子ども向けの節分アクティビティ
節分の説明
まず節分がどんな日か説明します。
- 節分というのは季節の変わり目のことで、日本の古いカレンダーではお正月の前日。
- 今は大晦日に除夜の鐘を突いて、心の中にあるもやもややイライラを取りのぞくけれど、昔の大晦日にあたる節分には、悪いものを追い払って福を呼び込むために豆まきをした。
- ただ、悪いものも福も目に見えないので、退治したり、お招きしやすいように、豆まきのときには「悪いもの=鬼」「福=福の神」のお面で仮装。
- 鬼は自分の周りにも心の中にもいる。
- 悪者の鬼には昔話によく出てくる赤鬼や青鬼のほかにも黄鬼・緑鬼・黒鬼がいて、体や顔の色でどんな悪さをするのかがわかる。(オノマトペで言い換えると子どもにわかりやすい。)
- 赤鬼:あれも欲しいこれも欲しい「もっともっと鬼」
- 青鬼:怒ってばかりいる「ぷんぷん鬼」「イライラ鬼」
- 黄鬼:甘えたりわがままばかりの「駄々っ子鬼」
- 緑鬼:怠けてやる気のない「だらだら鬼」
- 黒鬼:不信感や愚痴でいっぱいの「ぐちぐち鬼」
アクティビティ1:的当て
おうちでも学校でも、一人ででもみんなと一緒でも楽しめるゲームです。
用意するもの:
- 鬼の面(顔)を貼り付けた空のペットボトル
- 新聞紙
遊び方:
- 新聞紙を丸めてボール(豆の代わり)を作る。
- 鬼の面のついたペットボトルを床やテーブルの上に置き、アンダースロー(下投げ)で的を倒す。
応用:
- 鬼の面はペットボトルに貼り付ける代わりに、壁に貼ってもよい。
- 新聞紙ボール(豆)を投げるときに、例えば「駄々っ子鬼は外!」のように言い、指定した色の鬼を倒せたら20点、それ以外の色の鬼を倒したら10点のように、ポイントゲームにすると盛り上がる。
アクティビティ2:ヒイラギイワシ(節分イワシ)作り
におわないから安心。2月中玄関前(外)に飾れます。
用意するもの:
- 小さめの白い紙コップ
- 緑色の紙
- クレヨンまたはマーカー
- 割りばし
- セロハンテープ
- のり
作り方:
- 紙コップに色を塗ったり、紙を貼って、イワシの頭を作る。
- 割りばしを紙コップの内側にテープで貼り付ける。
- 緑の紙を切ったりちぎったりして、ヒイラギの葉っぱを複数(4~8)枚作る。
- 間に割り箸をはさんで、2枚の葉っぱをのりでくっつける。
アクティビティ3:鬼玉割り
用意するもの:(先生や保護者には準備がちょっと大変)
- 鬼の顔に似せたくす玉:「くす玉 作り方」で検索すると材料と作り方が出てきます。
- 色紙
- のり
- 新聞紙
遊び方:
- 新聞紙を丸めてボール(豆の代わり)を作る。
- 鬼玉を天井からつるす。
- 新聞紙ボール(豆)をぶつけて鬼玉を割る。
アクティビティ4:節分クイズ
大人数向けのゲームです。
ジョパディーのようなパネルゲームにしたり、チーム対抗戦もおもしろいと思います。
クイズ問題サンプル:
- 鬼の角は何の動物のもの?
- さい
- 牛
- ヤギ
- 鬼の牙は何の動物のもの?
- イノシシ
- トラ
- サメ
- 鬼除けの飾りに使う魚は?
- いわし
- マグロ
- 鯛
- 鬼が出てこないお話は?
- 桃太郎
- 一寸法師
- 浦島太郎
- 節分の食べ物は?
- 恵方巻(海苔巻き)
- ちらし寿司
- 握りずし
- 豆まきで使う豆は?
- あずき
- 大豆
- そら豆
- 豆まきをしなくてもいい苗字の人は?
- 田中さん
- 鬼頭さん・鬼塚さんのように鬼という漢字のつく苗字の人
- 渡辺さん
ポイント:
- 答えは選択式、絵や写真付きするほうが、子どもには答えやすいです。
- 授業で取り入れるなら、身近なもの・自然のものを取り入れて、そこからさらなる日本文化・伝統・風習につなげるといいでしょう。
- 発展のさせ方(例):十二支のお話(1月)→トラ・牛(2月)→ひな祭りの飾りに使われる牛車(3月)
最後に
今の時代、昔ながらの節分アクティビティはなかなかできそうにありません。
けれど、工夫次第で節分の意味を次の世代へと、海外へと伝えていくことは可能です。
幼稚園や小学校、コミュニティーセンターやおうちでも、ぜひ令和バージョンの節分アクティビティをお試しください。