サイト内の外部リンクには、リンク先でのサービスの利用や商品の購入により、当サイトに報酬が入る「アフィリエイト広告リンク」が含まれています。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
PR

学習者評価にお勧めの指導ツール8選|幼稚園の授業から企業研修にまで役立つ教育ツール#2

教育ツール

コロナ禍の影響で一気に広まったオンライン授業やリモートワークの話も、クラスターが発生した場合を除き、最近はほとんど聞かなくなってきました。目の前に学習者がいる以前の状態に戻ったのだから、落ちていた学習内容の理解力や定着度も戻るだろうと踏んでいたのに、スクリーンで全員の様子を確認できた頃と違って、一人ひとりに目が届かず、結果として学習成果につながらない。

そんな悩みをお抱えの指導者の方々に、今回の記事では、対面で行う授業や研修において、特に学習者の評価(アセスメント)に役立つツールをご紹介します。

*アメリカの授業や研修では頻繁に使われていますが、日本ではあまり利用されていないかもしれないツールが中心になります。

スポンサーリンク

KWL

「KWL」は「What I already KnowーWhat I Want to LearnーWhat I Learned」を意味し、下のように表にして使います。

K(すでに知っていること)W(学びたいこと)L(学んだこと)

 

  
KWLチャート

使い方:

  • ホワイトボードやチャートペーパーに大きなKWL表を描いて、クラス全体の意見をまとめるという使い方もできるが、学習者一人ひとりにプリントした表を使わせるほうがよい。
  • 何か新しいコンセプトについて学ぶ授業の導入部分で、KとWの欄を埋める。
  •  学習の最後(まとめ・振り返り)の際に、L欄を埋める。
スポンサーリンク

Sticky Notes(ポストイット)

使い方:

  • 学習者にポストイットを数枚渡し、これから学ぶ予定の内容・トピックについての質問または自分の考えや予想を1枚につき1つ書き、室内(ドア、窓、壁、チャートペーパーなど)に貼りに行かせる。
  • 授業の始めか、前の授業の終わりに行う。
  • 内容・トピックの学習後、(たいていは授業の振り返りやまとめの時に)学習者に新たにポストイットを数枚渡す。(できれば最初に渡したのとは違う色が望ましい。)
  • 学習者はポストイットと筆記用具を持って自分が貼ったポストイットのところに行く。
  • 自分の質問に対する答えや間違っていた考えや予想に対する訂正を、新しくもらったポストイットに書いて、元のポストイットに貼り付ける。
  • 自分の分が終わったら、室内を回ってほかの学習者が書いたポストイットの質問や考えと新たに足された答えや訂正を読む。間違いを見つけた時は、自分が正しいと思う答えをポストイットに書いて貼る。

Entrance Ticket(エントランスチケット・入場券)

チケットサンプル:このような感じチケットでよければ、Google Slidesの図形挿入で簡単に作れます。

使い方・使用目的:

  • 部屋の入り口に、少し大きめの入場券のようなもの(サンプル参照)を用意し、授業が始まる前、または始まった直後に学習者に1枚ずつ取らせる。
  • サンプルのように「トピックに関連して興味のあること」「トピックについてすでに知っていること」「前回の授業で学んだこと」などの質問をチケットに載せておく。(質問を書き込まず、口頭で伝えてもOK。)
  • 学習者の名前はあってもなくてもよい。
  • 学習者が回答を書き終わったら、チケットを回収する。

Exit Ticket(イグジットチケット・退出券)

使い方:

サンプルチケット入れ
  • Entrance Ticket(入場券)とは逆に授業の最後に使う。
  • 学習者は紙に質問(1つでも複数でも可)に対する回答を書いて提出する。(質問例:「今日学んだことは?」「今日のトピックに関してもっと学びたいことは?」「まだよくわからないことは?」など)
  • 提出の仕方は2種類:
    • 1枚の紙に複数の回答が書かれている場合は、教室の出入り口付近に置かれた箱・バスケット・大型封筒などに入れる。
    • 質問ごとに別の紙に回答を書く場合や1つの質問で回答がわかれる場合は、3段のポケット付き手紙入れ(サンプル参照)のポケットそれぞれに、または該当するポケットを選んで、チケットを入れる。ポケットは上から「もっと知りたい」「わかった」「よくわからない・ヘルプが必要」など。(質問例:「今日の授業で、自分が理解したことや困ってること、もっと知りたいことを書いてください」

Entrance/Exit Ticketと一緒に使うと効果的なツール

Entrance/Exit Ticketは学習者の背景知識や到達度を知る上で有効ですが、毎回同じ質問ばかりしていると、学習者に飽きがきてしまい、必ずしも正しいデータが取れるとは限りません。そこで、チケットに使う用紙やフォームを変えたり、質問の内容ややり方を変える必要があります。

3・2・1またはSquare-Triangle-Circle(四角ー三角ーまる・□ー△ー○)

「3・2・1」は学習者に、①何かを3つ、②別の何かを2つ、③さらに別の何かを1つリストアップさせます。

例:「今日の研修について、学んだことを3つ、もっと学びたいことを2つ、質問を1つリストアップしてください」

「四角ー三角ーまる」は学習者に、①自分の考えと一致する(Square)ことを4つ、②同意できない見方や観点(Triangle)を3つ、③頭の中でぐるぐる回っている(Circle)疑問を1つリストアップさせます。(英語の言葉遊びがタイトルの由来です。)

Quick WriteまたはQuick Draw(早書き・早描き)

学習者は自分の考えのまとめを、文字通り素早く(2-3分で)書くか描きます。

使い方

  • 導入部で使用する場合は、これから学ぶ予定の内容・トピックについてすでに知っていることや考えをまとめる。
  • 授業の最後に使用する場合は、その日学んだことをまとめる。

Sample Test Questions(テスト問題作り)

学習内容の理解度を図るテストの質問を学習者に作らせます。

使い方:

  • 授業の終わりの時間帯に使用する。
  • Yes-Noで答える質問や1語が答えになる質問ではなく、記述式の質問を作らせる。
  • 質問は1つでも複数でもOK。また、質問のほかに回答のサンプルをつけさせるのもお勧め。
  • 学習者が作った質問を実際のテストに使用してもいいし、次回の授業で「Jeopardy(ジェパディ)」や「アタック25」のようなパネルクイズ形式のグループ対戦ゲームに使ってもよい。

Questions to the Teacher(教師への質問)

学習者は、指導者に次回の授業で議論したい学習内容やトピックに関連した質問を提案します。

使い方:

  • 問題解決能力を高められるような質問にさせるのがお勧め。
  • 学習内容を理解するのにある程度時間がかかるプロジェクト学習のような授業向き。そのプロジェクトの半ばあたりで、授業の最後に利用する。

例:鎖国の時代についての授業で、「次の授業では、『日本が鎖国をしていた時代の政策や法律で、○○が違っていたら、(当時の人々の暮らしや現代の日本にどんな影響があったか)』について話し合う予定です。○○にあたる部分を考えて、次回の話し合いのテーマとなる質問を書いてください。」

ツールを使用する効果・ねらい

冒頭でお話したように、指導者にとってこういったツールを利用するメリットは、

  • 個々の学習者に必要な学び・ニーズが何かを把握できる(プレアセスメント)
  • 学習者がどのくらい学習内容を理解したか評価できる(ポストアセスメント)
  • 必要に応じて次の授業で、間違った理解の訂正や抜けている(足りない)部分を補うための教材として学習者の回答を利用できる

ことですが、学習者にとっても、とりわけ授業の始め・導入部分でツールを使用することで、以下のような効果が期待できます。

まとめ

日本の教師・指導者の中には授業や研修で大切なのは中心部分だとお考えの方が多いようですが、アメリカの教育現場では、実は授業の始まりと終わりの部分が、間に行う活動部分と同じくらい学習者の成功にかかわっていることに気づき、様々なツールを用いて指導に工夫を凝らしています。

また、学習者の理解度を知るためならテストをすればいいとお考えかもしれませんが、テストで測れるのはあくまでも最終段階の理解度であり、成績をつける役には立っても学習者を救う役には立ちません。

単元ごと、あるいは学期に1回のテストをする代わりに、またはそれに加えて、今回ご紹介したツールを常に授業の始まりや終わりの時間帯に取り入れて、普段から学習者の理解度を把握し、落ちこぼれそうな学習者救済にも役立ててみてください。

\このブログがお役に立ったなら/

投げ銭ボックス
タイトルとURLをコピーしました