「小さいころはお利口だったのに、大きくなるにつれて問題を起こすようになった」
そんな悩みを抱えた愛犬家のみなさん、それって本当にわんちゃんのせいですか?
我が家の場合、ダメなのは犬ではなく飼い主でした…。
今回はわんちゃんの問題行動に悩まされている飼い主のみなさんに、家族の関わり方次第でどうわんちゃんの行動が変わるのか、我が家の失敗談を通じて実感していただけたらと思います。
最後に「飼い主のNG行動チェックリスト」をつけておくので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
我が家のわんこ情報
名前 | Coco(ココ) |
犬種 | キャバリア(父)とアメリカンコッカースパニエル(母)のミックス |
年齢 | 8歳10か月(2022年7月現在) |
性別 | メス(1歳を過ぎたころに避妊手術済み) |
出生時の環境(うろ覚え) | 家族構成:両親と子供(小学校高学年) 同居のペット(室内飼い):チワワの成犬2匹(オス・メス)、キャバリアの成犬2匹(オス・メス)、アメリカンコッカースパニエルの成犬1匹(メス) 一緒に生まれた兄弟・姉妹:オス1匹、メス3匹 |
サイズと健康状態 | 中型(7Kg前後)・特記すべき病歴なし |
性格・特徴 | 臆病、興奮しやすい、食いしん坊 |
飼育環境としつけ
ココは生後2か月ちょっとの頃、まず私のもとで暮らし始め、その1か月半後、サプライズギフトとして実家に贈られました。1日の大半をひとりぼっちで過ごすより、自然いっぱいの田舎で両親と暮らすほうが幸せのはずでしたが、「そうは問屋が卸さない」のが世の常なのかもしれません。
生後2か月ちょっと(譲渡時)-3か月半
居住地・住環境 | 東京・室内での放し飼い・折り畳みペットサークル |
飼い主(家族構成) | 40代女性ひとり |
子犬のしつけに関する情報はネット上に溢れています。ドッグスクールや訓練士さんの手を借りる人の数も増えてきました。
ココの場合、何をどうしつけるかは、当時ナショナルジオグラフィックチャンネルでやっていた「カリスマドッグトレーナーシーザー・ミランの愛犬レスキュー」(原題:Dog Whisperer)の動画を見て決めました。私が教えたのは次の7つです。
- 指示(「伏せ」「お座り」「待て」「ヨシ」「ダメ」「ハウス」)に従う
- 噛まない
- 飛びつかない
- 吠えない
- リーダーウォーク:散歩のときに引っ張らない
- 社会化トレーニング:様々な景色・音・物・体験に慣れ、性別や年齢に関係なくあらゆる人や生き物と触れ合う
- トイレトレーニング
これらのほかに、誰がボスかはっきりさせて、甘やかさない・かわいがり過ぎないように気を付けました。もちろん、つぶらな瞳で見つめられるとつい抱き上げてしまいそうになりますが、そこはぐっと我慢です。
いよいよ実家に連れていくころには、7項目のうち「指示に従う」「飛びつかない」「吠えない」はしっかり教え込むことができました。
「噛まない」については半分成功と言ったところでしょうか。噛まないことを教える上で念頭にあったのは「人」です。
食べ物に執着するあまり狂暴になる犬がいるので、エサやりの際、わざとエサ入れに手を入れて「人の手=食べ物をくれるもの」と認識させるようにしました。
おかげで食べてる途中にエサ入れを手で塞いでも、「?」という表情をするくらいで噛むことはありませんでした。
人を噛まないしつけはできましたが、ものを噛むしつけでは大敗しました。
当時私は仕事に行く際、ペットサークルにココを入れていました。留守の間にうっかり電気コードを噛んだりしたら大変だからです。
そんなある日、玄関のドアを開けると、目の前にココがやってきました。最初はサークルのファスナーを閉め忘れたのかと思いましたが、確実にファスナーを閉めた次の日も玄関にいるのを見て、ココが自分で開けたのだと気づきました。
翌日の朝からはファスナーが開かないよう針金で固定して出かけるようにしました。
それで問題解決!とはなりませんでした。
1週間もしないうちにまたココのお出迎えを受けました。心なしかほくそ笑んでるように見えなくもありません。慌ててサークルを確認すると、何とメッシュを破いてサークルに抜け道を作っていました。「ずっと飼うわけじゃないし、よそのお宅にお泊りするときに便利だから」と金網製のケージを飼わなかった私の落ち度です。
私の心配をよそに、脱出中にココが噛んだのは通販雑誌・トイレシート・リードだけで、危険な電気コードやプラスチック製品は無傷でした。10日もすれば実家に帰ることになっていたので、留守中の悪さについてはあきらめました。
社会化トレーニングを兼ねた散歩は基本朝晩2回。私と一緒の時は引っ張っても無駄だとわかるようになってきましたが、近所の子ども相手だと、完全に綱引き状態でした。
他の動物と触れ合う機会がなかった割に、動物病院では大型犬や猫ちゃんを前に騒ぐわけでもおびえるわけでもなく、借りてきた猫(犬?)ように穏やかでした。初めてのトリミングも、置き土産にう〇こさえしなければ完璧だったと言えるでしょう。
トイレに関してはうまくいけばラッキーぐらいに考えていました。子犬は1日に何度もトイレをします。けれど私が付き合えるのは夕食後くらいだったので、トレーニングを徹底することはできませんでした。
生後3か月半-3歳半
居住地・住環境 | 島根・屋内(土間部分)でリードにつながれた状態・折り畳みペットサークルの継続使用 |
飼い主(家族構成) | 70代夫婦 |
以前2度犬を飼った経験もあり、両親が犬好きなのは間違いありません。けれどココを室内で放し飼いにすることに関しては首を縦に振りませんでした。どれだけ私が納得できなくても、飼い主が変わる以上仕方ありません。
結局、ココは屋内の10畳ほどの土間で、長めのリードにつながれて過ごすようになりました。放し飼いにしたところ、土間にあった野菜をかじり、トイレシートをびりびりに破り、好きなところでトイレをしてしまったせいです。トイレトレーニングとものを噛まないようにしつけられていたら、と悔やんだところで手遅れです。
10日間でしたが、私が見張っていられる間は放し飼いに、それ以外の時はリードにつなぐようにして、新しい環境に徐々に慣れさせました。散歩とエサやりはすべて両親任せ。しつけについても私のやり方を伝授しました。
噛まないのはいいとして、知らない人がきても吠えないし、これじゃあ番犬失格だわ。
(何ですとぉ!)
嫌な予感が的中したのはそれから1か月後のことでした。
ココがなきやまないんだけど…。
電話の向こうからは、大型犬かと間違うくらい図太い声が聞こえてきます。
出かけようとすると飛びつくし。
(いったいどうすればたった1か月でこうなるわけ?)
甘えたちゃんで、かまってほしいんだろうね。まぁ、これでようやく番犬らしくなったわ。
教え方がよかったみたいで「お手」もすぐできるようになったし。
そうそう、ジャンプなんてかなりなもんなんだから。ココほど高く飛べる犬はそうそういないと思うよ。
(いや、そこ、自慢するところじゃないんだけど…。)
ところで散歩のときに引っ張らないようにするにはどうすればいいんだっけ?
引っ張ったらとまる。または180度方向転換。あとはリードをまっすぐ自分側にさっと引いて、バランスを崩させる。
詳しく説明したにもかかわらず、母は明らかに聞き流していたので、シーザー・ミランのトレーニングリードを買って送りました。賛否両論ありますが、私はアメリカのカリスマドッグトレーナーのやり方に賛同しています。
アメリカ在住の妹に頼んで送ってもらったトレーニングリードは、わずか2か月でお役御免となりました。
あのリードだけど、ココが噛んでダメにしたから。
まぁ引っ張るからって特に実害もないし、もういいわ。だいたい近所の人が近くにいるときに引っ張るくらいだし。みんなが「ココちゃん、ココちゃん」ってなでたりおやつくれたりするから、そりゃあ、そっちに行きたいでしょ。
私の努力は半分以上、無に帰したと言わざるをえません。
さらに悪いことに、リードにつながれっぱなしの環境のせいで、思ってもみなかった問題が出てきました。
すっかり臆病になって、風でハンガーが揺れるのを見ては吠え、カエルや虫が動き回るのを聞いては吠えるの繰り返し。家の外だと本能で追いかけようとする分でも決して吠えないので、たぶん危険が迫っても逃げようがないことで不安を感じるのでしょう。
テリトリーを主張するようにもなりました。郵便配達、宅配便、とにかく家族以外の人が家に来ると吠えまくります。
他にも吠えるのとはちょっと違いますが、何かに怯えたりかまってほしい時は、母屋に続くガラス戸をしつこくたたき続けるようになりました。
リードをつないだ紐を短くし、ドアに手(足?)が届かないようにしてみましたが、しばらくするとまたひもが伸びてノックが始まります。
年に2回、実家に帰る度に問題行動に対処すべくしつけのやり直しをしましたが、私の言うことは聞いても、両親の言うことは聞きません。
残念ながら、私は両親(特に母)のしつけ教育にも完全に失敗しました。
3歳半-8歳半
5年前に父が亡くなると、ココは母にとって慰めであり、世話を焼く相手であり、セキュリティシステムになりました。
たとえ吠えようが飛びつこうかリードを引っ張ろうが、ご近所アイドルココちゃんに文句を言う人は誰もいません。それどころか「ココちゃんの鳴き方がいつもと違ってたから、何かあったんじゃないかと思って」と、ひとりになった母の様子を見に来てくれる人が出てきました。
相変わらず年に2回の強化訓練は続けていましたが、こういった理由で吠えることに関してはしつけ直さなくていいかもと思うようになりました。
8歳半-現在
4か月前から私もココの飼い主に復帰しました。(実家で母と暮らすことになりました。)
上の写真は今日庭先につないで撮ったものです。興奮しまくりだったので、この1枚を撮るだけに10分もかかりました。まるで訳が分からないのですが、実家に帰って以来、私が外に連れ出そうとするたびに超ハイパー犬に変身します。
シーザー・ミランによると「犬は飼い主の感情に敏感。しつけの際には飼い主の毅然とした態度が重要」だそうです。自分では自然にふるまっているつもりですが、もしかすると「今日もまた引っ張るんじゃないか」とイライラしているのが伝わっているのかもしれません。
そんな状態なので引っ張り癖を直す訓練は難航しています。
臆病な性格とテリトリーの主張も健在です。ハンガー相手に吠えることはなくなりましたが、土間にちょっとでも動くものが入り込むと、外に追い出すまで鳴くのをやめません。
そう言えば先日の大雨の夜、久しぶりにガラス戸をノックしてきました。一向にやめる気配がないので様子を見に行くと、私より先に母がきていました。
ココちゃん、雷を怖がってるようじゃ、番犬失格だよ。ご飯もちゃんとあげたでしょう?
(いや、そういう問題じゃないと思うんだけど…。)
飼い主のNG行動リスト
ここまで我が家のしつけの失敗談(頓珍漢な育犬ぶり?)をご紹介してきましたが、ココの問題行動の原因は明らかに飼い主の側にあります。そこで、いったい私たちの何が悪かったのか、飼い主のNG行動を一覧にまとめてみました。
#1 | 社会化の時期に基本のしつけを徹底しなかった |
#2 | 社会化の時期を過ぎた後、しつけを継続しなかった |
#3 | 飼い主(家族)全員がしつけに関わらなかった |
#4 | しつけの方法が飼い主(家族)の間で統一されていなかった |
#5 | しつけがうまくいかなかった時、「他人に被害が及ばないから」とあきらめた |
#6 | しつけがうまくいかないのを自分以外の人のせいにした |
#7 | 犬が問題行動を正す代わりにあまやかした |
#8 | 子ども相手のように、言い聞かせてしつけようとした |
#9 | 飼い主が犬との適切な関わり方をきちんと理解していなかった |
(#10) | リードにつなぎっぱなしで飼うことを選んだ |
#10に関しては各家庭の事情もありますし、法律で禁止されているわけでもありませんが、つなぎっぱなしのほうがより多くの問題行動につながるように思ったので、リストに入れました。
まとめ
犬のしつけ・育て方において最も重要なのは生後2-3か月くらいの社会化の時期です。けれどそれと同じかそれ以上に大切なのが、犬と飼い主(家族)の関わり方です。
犬のしつけ・育て方は子育てと変わりません。「家族の一員」「わが子」同然のわんちゃんには、愛情を注ぐだけでなく、家族全員が一致団結し、うまくいかなくてもあきらめず、継続したしつけをすることが必須です。
悩める飼い主の皆さん、ぜひ1度自分(たち)のわんちゃんとのかかわり方を見直してください。もしかすると自分(たち)の行動を改善するだけで、お利口なわんちゃんが戻ってくるかもしれませんよ。
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