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中高年必見!侮れない高齢者の転落・転倒事故|3つの事例から見るCT・MRI/MRA検査の必要性

高齢者の転落・転倒

玄関マットでつまずく。濡れた床で滑る。階段を踏み外す。

その結果、骨折などのケガをすると「この程度のケガで済んでよかった。打ち所が悪ければ、どうなっていたか」とか「頭を打たなくてよかった」などと言う人がいますが、果たして本当にそうでしょうか。

今回は高齢者の身に起こった2つの転倒・転落事故についてご紹介します。これを読めば、たとえ事故の際に頭を打っていなくても、特に中高年以上の人はCT・MRI/MRA検査を受けようという気になるはずです。

*2023年6月、事例3を追記しました。

*個人情報保護のため、内容に一部事実と異なる記述があります。

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転倒・転落事故の原因と結果

転倒や転落はたいていわずかなバランスの乱れや不注意から起こります。加齢が進むと身体能力や認知機能が低下するため、自分の足につまづいて転んだというような、何もない平面での転倒も珍しくありません。運動不足、持病や飲んでいる薬の影響でよろめいたりふらついたりすることもあります。

令和2年人口動態統計」(厚生労働省)によると、不慮の事故の中でも転倒・転落・墜落による死者数は9,585人で、この数字は交通事故による死亡者数3,718人の約2.5倍にあたります。(注:人口動態統計の概況は国内の出生・死亡・死産・婚姻・離婚に関するデータをまとめたものです。従って死亡者数も高齢者のみが対象ではありません。)

参考資料:令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況 

この数値だけでも転倒・転落を軽視することの危険性は十分理解できるでしょう。けれどさらに注意すべきなのが、転倒・転落・墜落が原因で発症した別の病気のせいで亡くなった人は、9,585人の中に数えられていない可能性が高いという事実です。また逆に、転倒・転落・墜落の死者数には、実は気づかないところで別の病気を発症し、それが原因で転倒・転落・墜落したという人が含まれている可能性もあります。

転倒・転落事故は最悪の場合、命の危険にさらされます。けれど事故で命を落とさなかったからといってすぐに安心はできません。事故の直後のみならず、一定期間中に複数回、転倒・転落が引き金となって、あるいは転倒・転落の引き金になった病気が隠れていないか、確認することが大切です。しかもその確認にCTやMRI/MRAを使った精密な・・・検査が必要なことは、以下の2つの事例からも明白です。

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事例1:屋内での転倒事故

転倒事故の概要70代男性が自宅にて転倒。
直後の検査および検査結果レントゲン検査により肋骨にひびが入っていることが判明。
治療内容特になし。
検査後の患者の状態事故の2か月後あたりから、頭痛、強い眠気、失禁、歩行困難、半身硬直、物忘れの症状が出始める。再び転倒、尻もちを繰り返す。
治療・病院の対応整形外科を受診するも、病院側は「高齢者にありがちな症状」と見なし、リハビリの予約を取るよう話すのみ。
3か月後の検査及び検査結果家系にこれまで認知症の発症者がいなかったこともあり、家族の強い希望で脳外科でMRI検査の実施。その結果、慢性硬膜下血腫が判明。(転倒により毛細血管が切れ、徐々にたまった血液が脳を圧迫)
治療・病院の対応入院・手術により血種を除去。完全除去はできないため、術後は残った血液が自然吸収されるか、再びたまるのか経過観察。
手術後の患者の状態認知症的な症状の大部分は改善される。歩行困難の改善が見られないため、再度整形外科を受診。
検査及び検査結果MRI検査により胸椎の圧迫骨折が判明。(2回目の転倒が原因)
治療・病院の対応即リハビリ入院。

事例2:転落事故

転落の原因と概要60代女性がリフォーム中の2階ベランダから1階に転落し、背中を強打。転落時の記憶がなく、転落の原因は不明。
直後の検査および検査結果CT検査により複数骨折が判明。
治療内容骨折治療。
治療開始後の患者の状態骨折以外に特筆すべき症状なし。精神・健康状態ともに良好。転落の記憶がないまま、4日後に脳内出血により死亡。転落後に頭部のCTを撮ったかどうか定かではないため、転落と脳内出血のどちらが先だったか不明。(脳内出血が原因で転落にいたった可能性あり)

事例3:屋外での転倒事故

転倒の原因と概要80代女性が散歩中飼い犬に突然引っ張られて転倒。アスファルトに後頭部をぶつける。コブができていたのと脳内出血の可能性を考慮して、家族に伴われてERを受診。
直後の検査および検査結果問診・レントゲン検査・CT検査すべて異常なし。
治療内容診察を待っている間に、後頭部だけでなく上腕や臀部にも痛みが出てきていたため、痛み止めを処方される。さらに転倒の危険性についてのパンフレットを渡され、気になる症状が出た場合は来院するように指示される。
検査後の患者の状態病院から自宅に帰るまでの40分ほどの間に、反応が鈍く(少しぼんやりした感じに)なる。帰宅直後にかかってきた電話の対応にも違和感が見られ、既に切れた電話をずっと耳に当てたままボーっとしている。
家族の判断で、すぐに救急車を手配。救急隊員の質問にきちんと答えられない。血圧が上が240と異様に高い。
治療・病院の対応まず先ほどと同じERの医師が対応。再度CTを撮ったところ、出血を確認。(最初に撮ったCTを見直し、そちらにもごくわずかに出血があったのを見逃していたとのこと。)すぐに脳外科の専門医が呼ばれ、外傷性くも膜下出血、脳挫傷の診断と点滴治療の開始。入院決定。
入院治療点滴のおかげで、入院の手続きが終わるころ(点滴開始から2時間後くらい)には血圧が下がり、反応も正常に戻る。入院3日目からは点滴から内服薬に変更。
1週間の入院期間中に3度CTを撮り、出血が止まったことを確認。
退院後の患者の状態と病院の対応片腕が上がらず、臀部の太ももにかけての痛みがあるため、かかりつけ医に鎮痛シップを処方してもらう。(入院中は科が違うため、もらえなかった。)
1か月間、内服薬を継続したのち、来院してCT検査で再度出血がないことを確認。
内服薬の服用をやめ、さらに1か月様子を見たのち、来院して再度CT検査。
打撲痛以外の問題がないため、通院終了。

まとめ

ものにぶつかる・引っかかるなど、物理的要因が原因の転倒・転落事故は、住環境を整備することである程度予防することができます。(介護認定を受けている人は、介護保険から住宅の改修費のサポートを受けられる可能性があります。)

また、歩行性促進、体幹補正、転倒防止といった機能が盛り込まれたケアシューズ・介護シューズの着用もお勧めです。

これまで「ケアシューズ=やぼったい」という印象を持っていた人も、CRAAS(クラース)の製品にならおしゃれ心をくすぐられる気がします。歩行に難を抱えていらっしゃるご両親やおじいちゃん・おばあちゃんに、お見舞いの品として、あるいは敬老の日のプレゼントとして贈ってあげたら、きっとお返しに笑顔が返ってくると思います。

一方、加齢を始めとする内的な要因が原因の場合は、加齢をとめられない以上、予防も難しいと言わざるを得ません。そして予防できない以上、事故が起こったあとに適切に対処しないと、最悪の結果につながる可能性も否定できません。

適切な対処としては以下のような検査の実施が考えられます。

  1. 事故直後の精密な検査:血液検査・レントゲン・CT・MRI/MRA
    • 目に見える場所以外の骨折・内臓損傷・ケガによる感染症等の有無を確認
    • 事故の原因となった病気または事故が原因で発症した病気の有無を確認
  2. 事故後2-3か月間、定期的な精密検査:CT・MRI/MRA
    • 事故が原因で遅滞発症した病気の有無を確認

転倒・転落事故にあった本人やその家族に限らず、友人・知人の中に事故後体調や言動が明らかに変わった人がいれば、「年のせい」と決めつけず、手遅れになる前にぜひ一連の検査を受けるよう勧めてあげてください。

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