サイト内の外部リンクには、リンク先でのサービスの利用や商品の購入により、当サイトに報酬が入る「アフィリエイト広告リンク」が含まれています。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
PR

【不登校対策】文部科学省「COCOLO」プランに思うことーもう1つ用意してほしい学びの場

COCOLOプラン

令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、小中学校の不登校児童・生徒数は約29.9万人と、過去最多を記録しました。

これを受け、令和5年10月17日、文部科学省は「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を公表しました。

このうち不登校に関する緊急対策は、同年3月に策定した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を前倒しした形になります。

今回の記事では、①COCOLOプランの概要と、②取り組みの1つである学びの場に関して、元教育関係者(米軍基地教育事務所日本語・日本文化教育指導主事)ならではの個人的見解を紹介します。

スポンサーリンク

COCOLOプラン

文部科学省資料

「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」とは、令和5年3月に不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指して、文部科学省が取りまとめたものです。

* COCOLO=Comfortable, Customized and Optimized Locations of learning(快適で一人ひとりに合った、学習に最適な場)

目標と主な取り組みは以下の通りです。

  1. 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
    • 不登校特例校の設置促進
    • 校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)の設置促進
    • 教育支援センターの機能強化
    • 高等学校等における柔軟で質の高い学びの保障
    • 多様な学びの場、居場所の確保
  2. 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
    • 1人1台端末を活用し、心や体調の変化の早期発見を推進
    • 「チーム学校」による早期支援
    • 一人で悩みを抱え込まないよう保護者を支援
  3. 学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
    • 学校の風土を「見える化」
    • 学校で過ごす時間の中で最も長い「授業」を改善
    • いじめ等の問題行動に対する毅然とした対応の徹底
    • 児童生徒が主体的に参画した校則等の見直しの推進
    • 快適で温かみのある学校環境整備
    • 学校を、障害や国籍言語等の違いに関わらず、共生社会を学ぶ場に

さらに、実効性を高める取り組みとして、

  • エビデンスに基づきケースに応じた対応を可能にするための調査の実施
  • 学校における働き方改革の推進
  • 文部科学大臣を本部長とする「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」の設置

の3つを掲げています。

取り組み1に対する考察

「仮に不登校になったとしても、小・中・高等を通じて、学びたいと思った時に多様な学びにつながることができるよう、個々のニーズに応じた受け皿を整備」することが1つ目の取り組みです。

不登校特例校の設置促進

COCOLOプランの概要を見ると、

「早期に全ての都道府県・指定都市に、将来的には分教室型も含め全国300校設置を目指し、設置事例や支援内容等を全国に提示。「不登校特例校」の名称について、関係者に意見を募り、より子供たちの目線に立ったものへ改称」

とあります。

学校が増えれば、1クラス当たりの児童・生徒数が減少するため、子どもたち一人ひとりへのサポートは間違いなく増加するでしょう。

けれど、どんな名前にしようと、不登校児だけが集まる学校というのはどうなのでしょうか。

おそらく世間は「あの学校に通っているのは元不登校の子どもたち」というレッテルを貼るでしょう。

そんな世間の目や声に、当事者やその家族は耐えられるでしょうか。

それに、不登校の原因や理由は様々です。

クラス分けから授業形態に至るまで、かなり慎重に計画・準備しておかないと、1度は通うようになったものの、結局また行かなくなったという子どもが出てくるような気がします。

そういう意味で個人的には、不登校特例校を作るよりも単に学校の数を増やすほうが不登校児童・生徒数の減少により効果があるのでは、と思います。

因みに令和5年2月の時点では、

不登校特例校: 21校
設置していないが設置を検討している市町村: 379

だそうです。

すでに開講している不登校特例校の実態を入念に調査し、今後に生かすよう期待しています。

校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)の設置促進

  • 落ち着いた空間で学習・生活できる環境を学校内に設置する
  • 自分のクラスとつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、その結果が成績に反映されるようにする

ぜひお願いします。

教育支援センターの機能強化と多様な学びの場、居場所の確保

  • 教育支援センターに求められる機能や役割を明確化
    • 児童生徒への支援に加え、その保護者が必要とする情報を提供
    • 子どもたちにとって様々な学びの場や居場所につながる地域の拠点
  • NPOやフリースクール等との連携を強化
  • オンラインによる広域支援強化
  • メタバース(Web上の空間)の活用について、実践事例を踏まえ研究
  • 学校・教育委員会等とNPO・フリースクールの連携強化
  • 夜間中学や公民館・図書館等の活用
  • 自宅等での学習を成績に反映

文部科学省は「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」の中で、

子どもが学校外の施設または家庭で、ICT等を利用するなど一定の要件を満たす学習活動をしていることを保護者が申請し、学校長が認めれば、登校しなくても出席扱いとして認められる制度(出席扱い制度

に言及しています。

要件さえ満たせば、フリースクールに通ったり、オンライン学習教材を使って自宅にいながらでも学び続けることができ、出席扱いにもなるというのは、子どもたちの学びへのアクセスをより簡単にするでしょう。

高等学校等における柔軟で質の高い学びの保障

  • (全日制・定時制課程)不登校の生徒も学びを続けて卒業することができるよう柔軟で質の高い学び方を可能とする
  • (通信制課程)どの学校においても、社会的自立に向けて必要な資質・能力を身に付けられるようにする
  • オンラインカウンセリングにより高等学校等の生徒を支援
  • 必要な支援が円滑に引き継がれるよう「児童生徒理解・支援シート」を活用して、組織的・計画的に支援

特に中学校の不登校生徒、あるいはその保護者のいちばんの悩みは、高校入学後の支援ではなく、そもそも不登校が続いたせいで内申点が悪くなり、受け入れてくれる高校が少ないことではないでしょうか。

先ほど述べた「出席扱い制度」をうまく利用できればいいのですが、そうでない場合、進学そのものを難しくしている入学者の選考基準についても、再考を検討してもらえればと思います。

スポンサーリンク

もう1つの学びの場

オンライン学習

私は20年以上の間、始めは教師、その後は指導主事として、DoDEA(Deprtment of Defense Education Activity)の教育システムに従事していました。

国内の米軍基地内にある小・中・高校や教育関連機関はすべてDoDEAに所属しています。

DoDEAの学校には、いわゆる日本で言うところの「不登校児童・生徒」いません。

1つにはホームスクールが学校教育の代替として正規に認められているからです。

実際、基地内の学校に学力証明等を提出し、それが認められれば、1度も通学することなく高校卒業の学位が得られ、大学に進学することも可能です。

Home School Legal Defense Association(ホームスクール法律用語協会:HSLDA)によれば、スタンフォード大学のホームスクール生の合格率は27%で、高校に通学した一般の生徒の合格率の約2倍にあたります。

COCOLOプランにおいても、ホームスクールでの学習をサポートしていますが、前項でも述べたように、高校卒業後の学びの継続に関してはまだまだ改善の余地があるように思います。

そしてもう1つ、DoDEAの子どもたちには「バーチャルスクール」という選択肢があります。

DoDEAのバーチャルスクールの特徴としては、以下のようなものがあります。

  • 世界中どこからでも学校に参加・登録できる
  • DoDEAの他の学校と同じカリキュラム・ポリシー・評価基準等を採択している
  • 学習活動はすべてオンライン上で行われる
  • オンライン学習に精通している教師がオンライン学習に最適な教材で指導に当たっている

*現時点ではバーチャルハイスクールしかありませんが、新型コロナウィルス感染症問題が深刻だった時期にはバーチャルエレメンタリースクール、バーチャルミドルスクールも存在していました。

COCOLOプランでも、クラス担任の授業やテストにオンラインで参加したり、自宅でICT等を利用するなど、部分的にオンライン学習を取り入れていますが、

  • クラス担任はオンライン向けの授業をしているわけではない
  • オンラインで授業に特化した教材がない
  • 自宅でのオンライン学習には適切な教材はあるが、自主学習の要素が強い

など、バーチャルスクールに比べると、子どもたちにとって最適な学習環境が与えられているとは言えないように思います。

そこで、DoDEAがコロナ禍で採用していたバーチャルスクールを参考に、COCOLOプランの目的にも合致しているバーチャルスクールを考えてみました。

  • 学校は国立の文部科学省の認可校
  • 学校はオンライン上に存在する
  • 日本国内のどこに住んでいても子どもたちは学校に通学(サイトにログイン)できる
  • 教師も日本国内のどこに住んでいても授業ができる
  • 教師はオンライン学習に精通している者を採用するか、オンライン学習に関する訓練を受けたものに限定する
  • 教材はオンライン学習に特化したものを準備・使用する
  • 授業はオンタイムだけでなく、オンデマンドでも受講可能

メリットは

  • 不登校特例校のように施設にお金をかける必要がない
  • 出席扱い制度を利用する必要がない
  • 高等学校卒業認定試験を受けることなく、大学進学を目指せる
  • 入学・通学のハードルが低い
  • 人間関係に起因するいじめ等の問題はほぼないと考えられる
  • あらゆる地域差が解消できる

など、COCOLOプランを主導する文部科学省、地域の教育関係機関、教育関係者、不登校の児童・生徒、保護者全員にとってかなり有益な案だと思うのですが…。

最後に

私は政治家でも有名な教育者でもありません。

元教育関係者ではありますが、「不登校が原因で悩みを抱えている子どもたちに笑顔を」と思っているただの田舎のおばさんです。

どれだけ大声で訴えても、ひとりの声ではなかなか政府の中枢にまで届きません。

もし私の提案に賛同してくださるのであれば、ぜひほかの人にもこの記事のことを紹介してください。

\このブログがお役に立ったなら/

投げ銭ボックス

不登校児童・生徒の居場所にもなる、年齢も性別も国籍も種族(?)も超えた人たちが集まって、互いに学びあい、喜びや楽しみを分かち合えるコミュニティサロンの設立・運営にご協力をお願いします。

タイトルとURLをコピーしました