ここ数年、「中間テストなし」という中学校が増えてきています。
今回は、そんな中学に通う中1の息子さんを持つお母さんの学習・子育て相談に関するお話です。
この記事を読むと次のことがわかります。
- ある中1男子とその母親の、初めての定期テスト(1学期の期末テスト)後の笑い話
- 中間テストがない(少ない)中学校での定期テスト対策
ある母親の悩み
先日、中1の息子の1学期の期末テストが返ってきたんですが、もう開いた口がふさがらなくて。
テストの点が悪かったということですか?
いや、確かに点も悪かったんですが、うちの息子、悲惨な結果にまるでこたえてないんですよ。
いったいどうすれば次は頑張ろうって気にさせられるんでしょうか?
1学期の期末テストの結果を見た親子の会話
ちょっと、なんなのこの点は?
わかる!
俺もテストが帰ってきたとき、同じこと思ったもん。
何なんだ、この余裕かました態度は!
中間テストがない(少ない)中学校の問題点
相談者のお子さんの通う学校は、中1の1学期のみ中間テストがないということでしたが、おそらくその背景には、
- 年度の始めということで、様々な学校行事に加え、身体測定、歯科・眼科検診、体力テストなどが目白押しで、まともな授業時間が確保できない
という理由があるのでしょう。
実際、中には3年間ずっと中間テストなしという学校も存在します。
定期テストの回数を減らせば、増える一方の学習内容がカバーできるので、学校側にとっては大きなメリットがあります。
けれど、子どもたちにとっては、
- 定期テストに対する勉強の仕方もわからなければ、勉強をする習慣も危うい状態で、一気に9教科分のテスト勉強をしなければならない。
- 中間テストがあるときより学習範囲が広い(約2~3か月分)。
そして何よりも、
- たった1回のテスト(期末テスト)の結果だけで学期の成績が決まってしまう→高校受験の際の内申点への影響が大きい
と、デメリットだらけです。
ご相談者さんによれば、県内では内申点の計算に中学1年時の成績も含まれるそうです。
つまり、次回以降の定期テストで挽回しないと、約2年半後、息子さんが希望校に入れなくなる可能性も無きにしも非ずという状況に陥ってしまったわけです。
中間テストがない(少ない)学校での定期テスト対策
それでは教科も多い、範囲も広いテストで、失敗しないためにはどうすればいいのでしょうか。
対策1:独自に中間テストを行う
人は、興味がある場合を除いて、たいていは必要に迫られないかぎり、勉強などしません。
つまり、私たちはテストがなければしないし、あればするということです。
ということで、学校がやらないのなら、独自に中間テストを用意しましょう。
模擬テストをやってくれる塾を探すのも手ですし、中学定期テスト対策問題集も各教科ごとに数多く出版されています。
\中1数学用のサンプル/
中間テストを行えば、
- その時点での理解度が確認できる
- 問題があれば、復習したり、学習方法の見直しが図れる
- 問題がなければ、さらなる動機づけになる
- 期末テストを受ける際、中間テストにない教科や、中間テスト以降に習った内容を中心に勉強すればいい
- 勉強しなければいけない範囲が減る
- テストに対するストレスが減る
と、子どもにとってはいいことづくめです。
対策2:テスト勉強の計画を立てる
2~3か月の間に学んだことを短期間で総復習するには、計画的に学習するしかありません。
そのために必要なのが、テスト勉強の計画表です。
守れる計画の立て方:
- テスト勉強に集中する期間はできるだけ長く、最低でもテスト前の10日間をあてます。
- 自分がどの学習者タイプかわかると、テスト勉強にかける時間がぐっと減らせます。
- 予定時間内に勉強する量には余裕を持たせます。詰め込みすぎると、計画倒れに終わる確率が上がります。
- 毎日、テスト勉強前に遊びの時間を30分~1時間入れておくと、以降の勉強に集中できます。
- 暗記に時間がかかるもの、復習する量が多いもの、苦手な教科は、計画表の1日目からテスト1日目の2日前まで毎日少しずつ勉強するようにします。
- 1日に、全教科の勉強を入れたり、逆に1教科だけ一気に勉強しないようにします。
- テストの前日は、予備日として計画を立てずにおき、計画通りに終わらなかった勉強や総復習に使います。
母親の決断
とりあえず今回のテストでわからなかったところや間違ったところはお母さんが見てあげるけど、来週からは塾に通ってしっかりみっちり勉強してもらうから!
えっ!塾?来週から?ずっと?夏休み中も?
そんなの俺の今後の予定に入ってないし。
何なのよ、あんたの今後の予定って?
じゃじゃ~ん!
ま、俺なんて勉強したところで大した成績は採れないだろうし、だったら思う存分ゲームに励んで、将来はeスポーツのプロを目指そうと思ってね。
コイツ、テスト勉強しないで、こんな計画立ててたのか!
ゲーム機器に76万円。
しかも、1か月半で55,000円を76万にできると思ってたとは…。
お母さんへの助言
初めに断っておくと、個人的には「eスポーツのプロになりたい」というお子さんの夢を否定するつもりはありません。
というのも、なにもいい成績を取って、いい高校、大学、会社に入ることだけが成功や幸せのあかしではないからです。
ただし、中学校で学ぶことの中には、生きていくうえで最低限知っておいたほうがいい・知らないと困る知識があります。
そこで、このお母さんには「夏休み76万円計画」を使って息子さんを指導する方法を提案しました。
- 計画を立てたことをほめる
- 計画の細部を聞き出し、そもそも始めから計画が破綻していることを本人に気づかせる
- 実行がかなり難しい要素(株取引など)がある
- (たとえ実行が可能だとしても)必要な知識が足りない
- 収入ばかりに目が行き、経費や支出が計算に含まれていない
- 時間的に無理がある
- 計画表を作り直させる
- 期間の再設定
- 購入品の見直し
- 計算のやり直し
- 収入を得るための方法の見直し
これはプログラム学習の応用で、直接的な定期テスト対策にはなりませんが、
- テスト勉強の計画表を作る練習になる
- 学校教育現場では得にくい21世紀スキルが育成される
- 「親にやらされてる感」なく、学ぶことの楽しさを味わえる
というメリットがあります。
お子さんの好きなことを学習にうまく結び付けられれば、勉強に対するモチベーションも簡単に上がります。
最後に
今回は、
- ある中1男子とその母親の、初めての定期テスト(1学期の期末テスト)後の笑い話
- 中間テストがない(少ない)中学校での定期テスト対策
- 独自に中間テストを行う
- テスト勉強の計画を立てる
を紹介しました。
親としては、長い夏休みの間にしっかりきっちり勉強して、1学期の失敗を取り戻してほしいところでしょうが、
- 1学期の成績が悪かったことに対する罰を与える
- 好きなことは禁止
- 脅す
- 「勉強しなさい!」と繰り返し言う
- 「勉強しないと✕✕になる」と、この先悪いことが待っているとにおわす
のは逆効果です。
怒りたい気持ちをぐっと抑えて、お子さんの好きなことをうまく利用し、お子さんが「気づいたらいつの間にか勉強していた」「勉強する習慣ができていた」となるよう仕向けましょう。