やっと「イヤイヤ期」が終わったと思ったのに、息つく間もなく訪れる「なぜなぜ期」。
お子さんの「なんで?」「どうして?」の嵐に、頭を抱えている親御さんは少なくありません。

簡単に答えられるような質問ならともかく、忙しい時や疲れてる時なんかに、返答に困るようなことをきかれると、正直かなりキツイですよね。
でも、コツさえつかめば、子育てのストレス期が子供の能力を伸ばすチャンス期に変わりますよ!
今回の記事では、小さなお子さんがいる親御さん向けに、①なぜなぜ期の特徴と、②21世紀型スキル(能力)を育成しつつ、なぜなぜ期をうまく乗り切るコツについて説明します。
この記事を読んでわかること
- なぜなぜ期の特徴
- 幼児期の脳の発達
- なぜなぜ期に育つ能力
- 21世紀型スキル(能力)を育成しつつ、なぜなぜ期を乗り切るコツ
- おすすめの対応
- NG対応
「なぜなぜ期」の特徴

なぜなぜ期は誰もが通る成長過程の1つです。
身の回りの人や物、事柄や事象に対して、ありとあらゆる質問を投げかける時期で、心理学の世界では「第二質問期」と呼ばれています。
*第一質問期:なぜなぜ期の前の「これは何?」「あれは何?」と、身近に存在する物やことの名前を尋ねる時期。一般的には「なになに期」と呼ばれる
個人差はありますが、なぜなぜ期はだいたい3歳前後に始まり、6歳ごろには終わりを迎えます。
言い換えると、幼児期の大部分がなぜなぜ期にあたります。
幼児期の脳の発達
幼児期は、胎児期や乳児期と並び、脳の発達段階においてもっとも重要な時期です。
人間の脳神経ネットワークは、生後半年から2歳ごろにかけて急速に発達し始め、3歳あたりで8割、6歳にもなると9割がた完成すると言われています。
- 0~2歳原子的な感覚(視覚・聴覚・触覚など)と言語機能の発達開始から完成
行動範囲が広がることで周囲に興味・関心を抱き始め、観察し、語彙や知識が増える
なになに期
- ~3歳~脳の機能分化、および高度な認知機能の発達促進
知的好奇心が芽生え、物事の仕組みや成り立ち、原因と結果といった因果関係や相関関係まで知りたがるようになる
なぜなぜ期
- ~6歳脳神経ネットワークがほぼ完成
コミュニケーション能力や情報処理能力、認知機能が向上し、道徳性や社会性の基礎が形成される
保護者にとってはストレスのもとになりかねないなぜなぜ期ですが、幼児期の子どもたちが発する「なんで?」「どうして?」は、脳が健全な発達を遂げている証なのです。
なぜなぜ期に育成される能力
脳の発達という視点からみると、なぜなぜ期に育つ能力には
- コミュニケーション能力
- 言語能力
- 情報伝達能力
- 表現力
- 共感力・協調性
- 情報処理能力
- 理解力
- 分析力
- 利用力
- 思考力
- 論理的思考
- 批判的思考
- 創造的思考
- 問題解決能力
- 分析力
- 判断力
- 記憶力
- 遂行力
- 道徳性
- 社会性
などが挙げられます。
そのほとんどがいわゆる21世紀型スキル(能力)と呼ばれるもので、これからの時代を生き抜き、さらに成功するために必要な能力です。
21世紀型スキル(能力)を育成しつつ、なぜなぜ期を乗り切るコツ

脳の発達に準じて自然に育成されるはずの能力も、間違った対応をすると、伸びるどころか弊害になりかねません。

そんなことを言われたら、「今以上にストレスがたまりそう」と思われるかもしれませんが、コツさえつかめば、逆にお子さんの「なぜ?」が楽しみになるかもしれませんよ。
おすすめの対応
保護者のストレスを減らしつつ、確実に子供たちの21世紀型スキル(能力)を伸ばしていくコツは、お子さんに考える時間を与えることです。
どんな質問にもまず質問で返す
たとえ簡単に答えられるような質問をされたときでも、まずは
「○○ちゃんはなんでだと思う?」
と質問し返しましょう。
それに対して、間髪入れずに「わからない」という返事が返ってくるようなら、
「じゃあ、ちょっとだけ考えてみて」
と返します。
こうすることで、お子さんは想像力を働かせ、自分で考えることを学び始めます。
そうして自力で正しい答えにたどり着ければ、考えることの楽しさに気づけます。自分の考えを相手にわかるように伝えることは論理的な思考やコミュニケーション能力を高めることにもつながりますし、最終的には自分への自信が生まれます。
考えても答えが見つからなかったときは、ヒント出すか、
「どうすれば答えが見つかるかな?」「誰にきけばわかるかな?」
ときいて、さらに考える時間を与えます。
この対処法のいいところは、何よりも保護者が正答を伝えるまで時間稼ぎができるところです。
もしかすると、「幼稚園や保育園の先生にきいてみる」という返事が返ってくるかもしれませんし、今どきの子は「Siriにきいてみる」と言い出すかも。
一緒に調べ物をする
うまく答えられない質問や答えがわからない質問をされたときは、お子さんに考える時間を十分与えた後、
「じゃあ、一緒に調べてみようか」
と、図鑑やインターネットで答えを探します。
これにより、情報収集の方法が学べ、文字や言葉に関する知識も増えます。
ただ、得られた情報の中には説明の難しいものもあるでしょう。
そんなときは、お子さんの発達状況に合った言葉で説明します。
それでも理解できていなさそうなとき、説明しにくい内容のときは、必ずしも正答を伝えるのではなく、子どもの想像力を刺激するような答えを用意します。
また、現時点では答えが見つかっていないような質問をされたときには、
「まだ世界中の誰にもその答えはわからないんだって。○○ちゃんがいろいろ調べて、答えを見つけてくれると、みんな喜ぶんじゃないかな」
と、お子さんの探求心に働きかけるといいでしょう。
NG対応
子供たちの心を傷つけ、「知りたい」欲求を殺してしまうような対応は、基本的にすべてNGです。
感情にまかせた対応をする
忙しいとき、疲れているときにしつこく絡まれたり、「うんとね、あのね」となかなか本題にたどり着かなかったりすると、いくら相手がかわいい我が子でもイライラしてしまうものです。
ただ、だからといって「うるさい」とか「いい加減にして」と怒鳴ったり、聞こえないふりや無視をするのはよくありません。
お子さんの心を傷つけ、知的好奇心や探求心を押さえてしまうだけでなく、コミュニケーション能力を磨く機会も親子の交流の楽しさも奪ってしまいますよ。
笑う・バカにする
子供たちのしてくる質問の中にはかなり突飛だったり、頓珍漢なものもあるでしょう。
けれどきいているほうは真剣です。
「何なの、それ?」と笑ったり、「そんなこともわからないの?」とバカにする態度はいただけません。
子どもの先回りをする
例えばお子さんがうまく質問できないとき、話し出してすぐに何が言いたいのか分かったとき、「ああ、それはね…」とお子さんの話を遮っていませんか。
親の立場からすると、お子さんをサポートしているつもりかもしれませんが、それでは思考力や表現力を高めるせっかくのチャンスを奪うことになってしまいます。
本当にサポートしたいのであれば、お子さんが適切な言葉を見つけ、話し終わるのをじっと待つか、「それってこういうこと?」のように、質問の形でお子さんが考えをまとめられるように誘導してあげましょう。
まとめ
今回は、小さなお子さんがいる親御さん向けに、①なぜなぜ期の特徴、②21世紀型スキル(能力)を育成しつつ、なぜなぜ期をうまく乗り切るのにおすすめの対応と能力育成の妨げになるNG対応について説明しました。
対応のコツさえわかれば、なぜなぜ期は厄介な期間から子供の能力を伸ばすチャンス期間に変わります。
「3~4年しかない」と思うか、「3~4年もある」と思うかは親御さん次第です。