大学を卒業してから今日までの間、私は何度か仕事をやめたいと思い、実際32年で5回職場を変えました。けれどやめたにしろ、やめなかったにしろ、自分の決断を後悔したことは1度もありません。
今回の記事は「仕事をやめるかどうか迷っている」「やめたいのにやめられない」人に向けたものです。仕事をやめるにしろ、やめないにしろ、後悔しない決断をするために、私自身が利用したプロセスと判断基準について、例を挙げながらご紹介します。
結論(決断)にたどり着くまでのプロセス
上の図は過去に私が決断をした際に利用した問題解決のプロセスです。私の場合、決断に至るにはその前に立ちはだかる「やめたい原因」と「決断できない原因」を取り除く必要がありました。
「やめる・やめない」の判断基準
問題を取りのぞくことのほかに必要だったのが、自分なりに「どういう状況ならやめて、どういう状況ならやめない」という基準を、プロセスを開始する前に設けておくことでした。
ただ、この基準を設定する際に苦労したのが「状況」の定義でした。「やめたい理由」は状況になりません。理由によって「やめる・やめない」が決断できるなら、そもそも誰も悩んだり迷ったりしないからです。そこで、私は「状況」を「やめたい理由→次の行動→結果」と見なすことにしました。つまり、
- やめたい理由があって、それに対して行動を起こしたら、こんな結果になったからやめる、またはやめない
という基準の設置です。
そして意志の弱い人にはさらにもう1つ、「いったん基準を設けたら、必ずそれに従う」という自分との約束が必要になります。(そうしないと、結局また悩みのループに逆戻りしてしまいます。)
仕事をやめたい原因(理由)
仕事をやめたい理由は人それぞれ違いますし、ひとりにつき1つだけとも限りません。さらに、ある理由が別の理由に繋がったり、複雑に絡み合っているケースもあるでしょう。よく聞くのは以下のような理由です。
- 仕事に対する思い
- 熱意を失った
- 将来性がない、キャリアアップが見込めない
- 自分に合わない
- 職場環境
- 上司や同僚との対人関係
- 物理的要因(立地・建物など)
- 労働条件
- 給料・手当
- 仕事の内容(きつい・多い・忙しいなど)
- 休暇
- 勤務形態(転勤・出張が多いなど)
- 家庭の事情
- 介護
- 子育て
- 個人的な理由
- 健康問題
こういった理由は、①やめたいと思っている本人の行動次第で状況を改善したり、原因を取り除けるものと、②本人には変えようのないもの、の2種類に分けられます。
ただし、ここで注意したいのが、自分の理由がどちらのグループに入るのか正しく見極めることです。例えば、通勤に時間がかかりすぎるという物理的な理由は、一見すると②本人には変えようのないものに思われます。けれど通勤手段を変えたり、引っ越しが可能な人にとっては、①本人の行動次第で改善できるものになります。
同じ理由のようでも、上述のように個人的な背景事情によって次の行動が変わってきます、自分の理由がどちらのグループに入るのかまずはじっくり考える必要があります。
次の行動:①行動次第で改善または除去できる理由が原因の場合
①が原因の場合は、次のステップとして問題解決のために行動を起こします。
- 部署の移動・仕事内容や勤務時間等の変更を上司や人事課に打診・交渉してみる
- スキルアップや自己啓発のためのクラスやトレーニングを受ける
- 親しい友人や同僚、または家族に相談する
「そんなことができるならとっくにやってるよ」という人は、転職のプロ・カウンセラー・弁護士といった専門家に相談するという手もあります。問題を解決したいのであれば、ひとりで悩みを抱え込まずに、誰かに話を打ち明けることが大切です。最近は無料で、しかも匿名で受けられるサービスも多いので、内気な人や周りの目が気になる方は、ぜひそういったサービスを活用してみてください。
注:「やめたいと思った最初の原因は改善・除去できるものだったが、それが原因で健康を害した」という人は「次の行動:②変えようのない理由が原因の場合」に進んでください。
問題が解決した場合
こういった行動によって状況が改善されたり、問題がなくなれば、おそらくほとんどの人が「やめない」という結論に至るのではないでしょうか。
それに対して、問題が解決したのに決断できないという場合は、本当には問題が解決していない可能性が高いです。そういうケースでは、自分が思っている理由以外に仕事をやめたい理由がないか、再度確認する必要があります。
問題が解決しなかった場合
「試してみたが、問題解決には至らなかった」という人は、仕事をやめるべきなのかもしれません。「やめる」ことを決断したのであれば、やめるための準備(やめる前にすべきこと)をご覧ください。
なお、この段階でも「まだ決断が下せない」という人は、やめたい理由以外に、決断できない本当の原因があると思われます。そういう人は下の「決断できない原因」に進んでください。
次の行動:②変えようのない理由が原因の場合
仕事をやめたい理由が②本人には変えようのないものだったとき、私の判断基準は以下の通りです。
- 不安や不満を抱えたまま、我慢する→やめない
- 勝てない戦にこれ以上時間もエネルギーも費やさない→やめる
- 病気が原因の場合
- どちらを選ぶほうが心身の健康にいいのか、医者にアドバイスを求める
- 一時的に決断を保留:診断書付きの長期療養休暇という第3の選択肢を選び、まずは健康を取り戻すことに専念する。その後健康が回復した時点で、決断について再考する
ちなみに「1度はやめないと決めたけれど、やっぱり我慢できない」となったときには、改めて考えなおせばいいだけです。
決断できない原因(理由)
決断できない理由もまた人それぞれです。
- 今後の生活への不安
- 金銭面
- 次の仕事
- 仕事への責任感:やめることで周囲の人(職場内・取引先など)に迷惑がかかる
- 家族の反対
- 世間体
実際、決断できない人の大半は、本当は「やめる」決断をしているのに、心のどこかで「仕事をやめる=失敗」「仕事をやめる人=落伍者」のように考えているのではないでしょうか。
今はありとあらゆることが「仕事」と見なされ、新しい職種が次々と生まれてくる時代です。仕事の形態も様変わりしています。そんなふうに仕事の選択肢が増えたことに加え、倒産やリストラの影響もあって、転職する人や起業する人も増加する一方です。
ただ、どれだけ「仕事を辞める(辞めた)からといって悲観することはない」と言われても、ネガティブ思考から抜け出せないのであれば、自分や他人を納得させる、より強力な言い訳が必要です。
自分や他人を納得させるための言い訳
まず、周囲の人に迷惑がかかることを懸念して仕事をやめられないと思っている人に質問です。
「あなたはその職場で、変えのきかない唯一無二の存在ですか?」
答えは「残念ですが、あなたの代わりはいくらでもいます」です。
世間の目が気になってやめられない人はどうでしょう。
近所の人だろうと会社の上司や同僚だろうと、世間の人たちはあなたの人生の責任を取ってはくれません。そんな人たちの目に自分がどう映ろうと気にする必要はありません。特に職場関係の人たちとは、仕事をやめてしまえば関わる必要もなくなります。
それでは家族に反対されている場合はどうでしょうか。
家族というのは、お互いの幸せを尊重すべきだと私は思います。自分の考えを押し付け、身内が不幸なまま、あるいは不幸になっても平気だとすれば、そんな家族のほうが「仕事をやめる・やめない」より先に解決すべき問題ではないでしょうか。
一方、もしもあなたが不幸だと家族が気づいていない場合や、反対されると思って自分の気持ちを伝えていない場合は、まずきちんと話をすることから始めます。弱い自分を認めるようで話しにくいかもしれませんが、相手は家族です。きっとあなたの力になってくれるでしょう。
以上、3つ例を挙げてみましたが、「自分はそんなふうに考えたり行動したりできるほど強くない」と思った人も「結局自分には決断できなかった」と落胆する必要はありません。
「問題に対処しない・できない」と考えた時点で、あなたの心は「やめる」ことをあきらめたのではないですか。
やめたいのにやめられないもう1つの原因(理由)と対処法
実は仕事を辞めたいのにやめられない人の中には、やめる決断もできているのにやめられない人がいます。
「やめる」と言うことも含め、離職に伴うやり取りのすべてがストレスに思えて、最初の一歩が踏み出せない人たちです。
おそらく「今日こそは」と思いながら、結局何も言い出せないまま、鬱々と仕事を続けているのではないでしょうか。
こういう人はもはや自分ではどうしようもないので、
といった労働法に強い労働組合や弁護士集団が運営する退職代行サービスを利用しましょう。
- 出社や雇用主への連絡は不要
- 最短即日退職も可能
- 合法的な交渉
やめるための準備(やめる前にすべきこと)
自分なりの基準に従って出した結論が「やめる」だったとしても、すぐにやめてしまうのは早計です。決断を後悔しないために、以下の準備をする間、もうしばらく仕事を続けます。(やめると決めたことで、仕事を続けることもそれほどストレスにはならないはずです。)
- やめた後に何をするか決める
- ほかの会社に転職
- 自営業・フリーランス
- 復学
- 支出入の計算をする
- 預貯金の残高確認
- 最低限必要な生活費の見積もり
- 退職金・雇用保険の給付金の見積もり
- 住民税・健康保険料・国民年金の見積もり
- その他準備中または離職後にかかる費用(例:授業料)の計算
- やめた後にすることに関連した準備を具体的に始める
- 就職活動を始める
- スキルアップ講座を受けたり、資格を取る
- 復学に必要な情報を集め、入学の準備をする
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仕事をやめた後も生活は続きますし、生活していくにはお金がかかります。預貯金の額が一番気にならないのは、やめる前に転職先が決まっている場合です。それでも無収入の期間がないわけではありません。税金等の多額の支出も待ち構えていますし、最低でも2-3か月暮らしていけるだけのお金を用意しておくと安心です。
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また、どうしてもやめる前に転職先が見つからなかった場合は、雇用保険の給付を受けることになると思います。国の機関であるハローワークでしか手続きができないので、転職の相談に限らず、やめる前に1度は訪れたほうがいいでしょう。
注:次の仕事が自営やフリーランスの場合は雇用保険がもらえないので、収入と支出の計算をする際、注意してください。また、自己都合で離職した際は最初の振り込みまで2か月半から3か月かかります。こういった詳細に加え、健康保険の手続きと国民年金の手続きについては「離職後の健康保険・雇用保険の求職者給付・国民年金の手続きについて」をご覧ください。
準備に必要な日数と支出入の額がわかれば、逆算して仕事をやめる日が決められます。最短でも最終勤務日の1か月前までには会社に退職・離職の意思を伝えましょう。
最後に:悩んでいる人に伝えたいこと
ここまで私なりの決断プロセスと判断基準について紹介してきましたが、「仕事をやめる・やめない」で悩んでいる人に最後に伝えたいことが3つあります。
- 仕事は長い人生の一部でしかありません。
- 自分に自信を持ってください。
- 一人で悩まないで、誰かに悩みを打ち明けてください。
私でよければお話をうかがいます。
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あなたが頑張って出した結論なら、私はそれを支持します。