日本は地震・台風・集中豪雨といった自然災害が多い国です。
地理的要因が関係しているため、その発生を防いだり、脅威に抗うことはできません。
けれど災害の被害を最小限に抑える努力なら、個人レベルでも可能です。
実際、みなさんの中には2011年の東日本大震災に触発され、しっかりと防災対策を整えてあるという方もいらっしゃることでしょう。
ただ、子供や孫と離れて、一人、または夫婦だけで暮らしている高齢のご家族はどうでしょうか。
自分たちだけで必要な対策がとれているのでしょうか。
今回の記事では、特に高齢者だけで暮らしている方々が用意しておいたほうがいい「非常持ち出し品」と「防災備蓄品(自宅避難用)」について紹介します。
もしまだなら、遠くに暮らす高齢の親御さん、おじいさん・おばあさんのために、ぜひ必要なものを準備してあげてください。
非常持ち出し品
非常持ち出し品とは、自宅を離れて避難先へ向かうときに有用性が高いと思われる品物です。
アイテムのチェックリストはこちらから入手できます。プリントして非常持ち出しバッグの取り出しやすいところに入れておきましょう。
情報収集用品
- 携帯電話
- 電池式モバイルバッテリー
- 携帯電話の充電器・コード
- 普段使っているものとは別に予備を用意する
- 携帯ラジオ(携帯電話がない場合)
- 乾電池
- いざ使おうと思った時に困らないよう、タイプは必ず確認しておく
- 筆記用具・メモ帳
- 油性マジックは必ず1本入れておく
- (予備の老眼鏡や補聴器・集音器+バッテリー類)
貴重品
- 現金(小銭を含む)
- マイナンバーカード(または身分証・保険証)等のコピー
- 携帯電話に写真を保存しておいてもよい
健康・衛生対策
- 常備薬(風邪薬・胃腸薬・頭痛薬など)
- 救急セット(絆創膏・湿布薬・消毒薬・軟膏薬など)
- 処方薬(自己注射器・エピペン・吸入器等を含む)
- 最低でも3日分を常に常備しておく
- お薬手帳のコピー:携帯電話に写真を保存しておいてもよい
- 衣類(着替え)1セット
- 下着は2セット以上が望ましい
- マスク
- トイレ関連用品
- (必要であれば)大人用おむつやパッドなど
- トイレットペーパー
- タオル・ウェットティッシュ(大)
- ゴミ袋・ジップロック
- ゴミ袋は大中小複数のサイズ
- 水に濡れると困る非常持ち出し品はあらかじめジップロックに入れておく
- 寝袋、ドライシャンプー・歯ブラシ
- なくてもいいが、避難所生活の質が格段に上がる
環境・安全対策
- 懐中電灯(携帯電話でも代用可能)
- 乾電池
- いざ使おうと思った時に困らないよう、タイプは必ず確認しておく
- 上履き
- スリッパは転倒の原因になる可能性があるので、避けたほうが無難
- 軍手
- 笛・ホイッスル
- カイロ
- サーマルブランケット
- レインコート・ポンチョ
- 水で冷やせるタイプのネッククーラーや電池式の携帯扇風機
飲食料
人間が水や食料なしに生命を維持できるのは、72時間が限界と言われています。
そこで、非常持ち出し品の中でも飲食料は3日分を目安に用意します。
- 2リットル程度の飲料水
- 500mlのペットボトルに小分けしてあるほうが使い勝手がいい
- 成人1人あたりが1日に必要とする量には遠く及ばないが、高齢者が持ち運ぶのに重量的に無理がない量
- 食料・おやつ
- 調理しなくても食べられるレトルト・パウチ食品や缶詰
- 乾パン等の保存食
- バランス栄養食
- 飴・ドライフルーツ
- マヨネーズ(個人的なイチ押し):味付けだけでなく、そこそこ栄養も摂れる万能品
- 山で遭難した人が、たまたまお土産に買っておいたわさびマヨネーズを食べて生き延びたという実話も!
ご存じですか?長期保存が可能なレトルトご飯や缶詰パンが「ふるさと納税」の返礼品の中に!
島根県人の私が推すのは
- そのまま食べられるレトルトおかゆ(7年保存可)
- 【5年保存】パン職人が作ったやわらかーいパン
- 箸・フォーク・スプーンを含む食器類
- 折り畳み可能なコップなどピクニック用のものが便利
その他
- 万能ナイフ
- ラップ・アルミホイル
- ガムテープ・紐
非常持ち出し品の入手方法
非常持ち出し品の中には近所のスーパーや100円ショップで簡単に手に入るものもありますが、防災に特化した品物を1つ1つ手に入れるのは、特に高齢者には難儀です。
そこで、専門のオンラインショップなどから避難グッズセットや防災セットを購入し、それをベースに足りないものがあれば追加していくようにするといいでしょう。
非常持ち出しバッグ
第一に、非常持ち出しバッグは一人につき1つ用意するのが望ましいです。
一般的には、いつでも両手が使えるように、リュックタイプのバッグを用意する方が多いと思います。
先ほど紹介した避難グッズセットや防災セットも、たいていそのまま背負って持ち運べるバッグ込みで販売されています。
けれど、高齢者の場合、どれだけ最小限に抑えても10~15キロにもなる荷物を背負って歩くのは大変です。
リュックタイプの購入を検討しているのであれば、状況に応じて使い分けが可能なキャスター付きのバックパックやキャリーバッグタイプのものをお勧めします。
なお、歩行に難を抱えているにもかかわらず、避難所への移動に付き添いが望めない方には、支えにもなるシルバーカーのようなカートタイプのほうが向いています。
いずれにせよ、できればご近所の若年層の方々に、非常時にはひと声かけてもらうよう、あらかじめお願いしておきましょう。(災害用ホイッスルも自分の居場所を知らせる役に立ちます。)
非常持ち出し品のバッグへの収納の仕方
非常持ち出し品は、使用目的ごとに透明なジップロックに小分けしておくと、いざというときに探しやすく、水濡れの心配もありません。
バッグに収納する際は、タオルや衣類といった柔らかくて軽いものを下に、缶詰や水など重いものを上に置いたほうが、同じ重量でも軽く感じるそうです。
非常持ち出しバッグの保管場所
非常持ち出しバッグは、外に出る際、必ず通ることになる玄関先に置いておくのがお勧めです。
ただし、地震の場合など、建物が倒壊して家の中に入れない場合もあるので、もし屋外に安全な保管場所があるなら、そちらのほうが適切かもしれません。
また、外出中に災害に巻き込まれる場合を想定して、車をお持ちの方は、車のトランクにも非常持ち出しバッグをもう1セット常備しておくといいでしょう。
車での避難が可能であれば、重い荷物を持ち運ぶ必要もないので、追加で飲料水や食料品を積んでおくことも可能です。
なお、台風などによる水害等の自然災害が発生した場合には、逃げ遅れて非常持ち出し袋がないまま、2階に取り残される状況が考えられます。
すぐに救助が来るとは限らないので、最低でも水・非常食・常備薬と処方薬、それに予備の靴を2階に置いておくと安心です。
ペットがいる場合
環境省が作成した「人とペットの災害対策ガイドライン」によると、ペット同伴の避難は可能ですが、人間とペットが同じ空間で避難生活を送る同伴避難ではなく、避難所内でも生活スペースを分ける同行避難が原則です。
- 最寄りの避難所がペットの受け入れ可能かどうか、事前に確認
- ガイドラインの精査
- ペット用の非常持ち出し袋(5日分の水とエサ・折り畳み可能なエサ皿・トイレシートなど)の用意
同行避難が難しかったり、しないという選択肢もありますが、その場合でも大切な家族の一員であるペットの安全を確保するための準備は怠らないようにしてください。
自宅で避難生活を送る場合の防災備蓄品
大きな災害が発生すると、得てして電気やガス、水道をはじめとするライフラインが止まってしまいがちです。
そういった場合を想定して備蓄しておくのが防災備蓄品です。
防災備蓄品には、非常持ち出し品のほかに、自宅など避難所以外の場所で避難生活を送らざるを得ない状況を考慮した品物が含まれます。
調理器具・用具
避難生活のつらさやわびしさを紛らわせてくれるものの1つに、温かい食事があります。
カセットコンロ+ボンベやバーベキューコンロ+炭(+チャッカマン)、キャンプ用調理器具は、ガスや電気が止まっても調理を可能にしてくれる優れものです。
どれを選ぶにしろ、鍋やキッチンバサミ・トングといった調理道具も忘れずに用意しておきましょう。
孫や子供が帰ってきたときのお楽しみにも使えるので、調理器具・用具は買っておいて損がないマストアイテムです。
飲食料
非常用持ち出しバッグには、3日分の飲食料を詰めましたが、在宅用にはさらに4日分を加えた7日分を用意します。
簡単な調理ができるので、食品の種類も増やし、カップ麺やインスタント食品のほか、乾麺や乾物、麺つゆや混ぜるだけの調味料、瓶詰の保存食等もストックしておくといいでしょう。
*飲料水や食品には賞味期限があります。
ローリングストックが推奨されていますが、言うは易く行うは難し。
お盆やお正月で里帰りした際、高齢者本人に代わってチェックし、必要に応じて一緒に食べたり、買い替えを手伝ってあげてください。
生活用水
ライフラインが使えないまま避難生活が長引いたとき、被災者が最も苦痛に感じるのがお風呂やトイレなど衛生面の管理が難しくなることです。
ポリタンクに水道水を貯めたものを備蓄しておけば、トイレの水を流したり、身体を清潔に保つことができ、健康の維持にも役立ちます。
ペットシートとビニール袋
屋内のトイレが使えないときには、ペットシートを使った簡易トイレがおすすめです。
作り方は簡単。
- 密閉できるビニール袋の中にペットシートを入れる
- トイレの便器やバケツなどにセットする
これだけです。
簡易トイレよりも安価なうえに、ペットシートは尿を吸収するだけでなく、防臭・抗菌効果も備わっているので、袋を閉めてしまえば臭いも軽減させられます。
防災備蓄品の保管
基本的には非常持ち出し袋と同じで、押し入れの奥などにしまい込むのではなく、簡単に取り出せる場所に保管しておく必要があります。
その際、1度に無理なく運べる量ごとに分けてバッグやケースに入れておくようにしましょう。
最後に:私的な避難所の設立
私の地元はここ50年以上の間、比較的自然災害の被害が少なかったせいか、市町村も住民も災害に対する危機感が足りないような気がします。
地理的に考えて、大きな災害に見舞われれば、津波や河川の氾濫による道路の冠水や家屋の浸水が最も危惧されるところですが、公的な避難所のほとんどは低地の、しかも河川の近くに指定されています。
正直なところ、これでは本当に避難する必要に迫られても、安心して頼れそうにありません。
そこで、「まなまなSalon」の設立を思い立った時、非常時にはたとえ少人数でも避難者の受け入れができるように、宿泊設備を整えようと思いました。
我が家の周辺は、同じ地区の中でも海抜が高いほうで、山が近くても地滑りの被害にあう危険性も低いと言えます。
また、飲料可能な井戸水が利用でき、屋外に調理用のかまどを供えていたり、薪でお風呂が焚けたり、掘りごたつを使用している家庭も数軒存在します。
残念ながら、まだ計画以上の進展はありませんが、今後も設立に向けてコツコツと資金集めをしていきたいと思っています。
それまでは上述したように、高齢の母と自分自身、愛犬ココちゃんの防災対策を徹底し続けます。
\「まなまなSalon」の趣旨に賛同していただけるなら/