ここ最近、スーパーの野菜売り場で、ため息が出てしまうことはありませんか。
とりわけキャベツやレタス、ほうれん草といった葉野菜の値段高騰には目を見張るものがあり、「食卓の野菜不足が気になるけれど、家計のやりくりも大変…」と頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
そんな今だからこそ、視点を変えて「身近な自然の恵み」に目を向けてみませんか。
実は、庭や畑、道端で「厄介者」扱いされがちな雑草の中には、ほうれん草やシュンギクのように、おひたしや天ぷらとして美味しく食べられるだけでなく、栄養価の高い野草もたくさん紛れています。
自然の恵みを無駄なく、ありがたくいただく暮らしによって、お財布に優しいだけでなく、サステナブルで豊かな体験が可能になります。
ということで、今回は、今の時期(秋)に見つかる「食べられる野草・雑草15種」を写真付きで紹介するとともに、その安全な見分け方やおすすめの調理法についても紹介します。
もしかすると通いなれた道が、これまでと違って「宝探しの道」に見えてくるかもしれませんよ。
【注意】野草を安全に美味しく楽しむための3つの約束
安心・安全に美味しくいただくために、野草摘みをする際には以下の3つのルールを必ず守ってください。
- 100% 確実に判別できるものだけを口にする
自然界には、食べられる野草と姿形がそっくりな「有毒植物」が存在します。「たぶんこれだろう」という曖昧な判断ではなく、写真や特徴を見て100% 確信が持てるものだけを収穫してください。 - 清潔で安全な場所から採取する
除草剤が散布されている可能性のある場所(畑の境界や公園、線路脇など)や、ワンちゃんなどペットの散歩コース、車の排気ガスが直接当たる道路脇での採取は避けたほうがいいでしょう。 - 必ず適切な下処理(アク抜き)を行う
野草には、ほうれん草などと同じように「シュウ酸」などのアク(成分)が多く含まれているものがほとんどです。生食は避け、しっかり熱湯で茹でて冷水にさらす、あるいは高温の油で天ぷらにするなど、それぞれの野草に合った調理法で少量から試してみてください。
*以下の写真は、すべて2026年10月上旬に出雲市内で撮影したものです。中には食用に最適な時期を過ぎてしまった状態のものもあります。
1.タンポポ(キク科)

タンポポは、春だけでなく、秋にもみずみずしい葉を地面に広げて冬越しの準備(ロゼット)をする植物です。おそらく誰もが、1度は黄色い花(西洋タンポポや日本古来のタンポポ)や、白い花(シロバナタンポポ)、または綿毛を目にしたことがあると思うので、たとえ花がない時期でも、他の野草と間違えるリスクはほぼないのではないでしょうか。(*どの種類でも美味しく食べられます。)
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし・天ぷら
地面にペタッと広がっている、ギザギザとした「葉」を根元からハサミで切り取って収穫します。
汚れや枯れた部分を取り除き、きれいに水洗いしたのち、少しほろ苦さがあるので、塩を入れた熱湯で1〜2分ほど茹で、冷水に数分さらしてアク抜きをします。
しっかり水気を絞ってから細かく刻み、胡麻和えやツナマヨ和えにすると、苦味がマイルドになって春菊のような上品な味わいを楽しめます。
また、生のまま衣をつけて揚げる天ぷらも、サクサクとしておつまみに最適です。
タンポポはおひたしや天ぷらとして食べるだけでなく、「お茶」としても大変優秀です。根っこを乾燥させて焙煎すると、ノンカフェインで香ばしい「タンポポコーヒー(たんぽぽ茶)」も作れます。
当ブログでは、身近な山野草を使ってお家で手軽に楽しめる『野草茶・花茶の作り方と期待できる健康効果』についても別記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせて読んでみてください。
2.ヨモギ(キク科)

ヨモギは、空き地や道端、公園の隅など、それこそ「どこにでも生えている」と言っていいほど馴染み深い多年草で、秋もなおしっかりと青々とした葉を茂らせています。
葉の裏面に白い綿毛がびっしりと生えていて、めくると真っ白に見えること、そしてちぎったときにハーブのような独特の爽やかな香りがすることから、他の雑草と間違える心配が少ない初心者向けの野草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら・おひたし
秋のヨモギは成長して茎が硬くなっていることが多いため、収穫する際は茎のてっぺん(先端)にある「新しくて柔らかい若葉」だけをポキッと手で折るか、ハサミで摘み取ります。
一番のおすすめは天ぷらです。きれいに水洗いして水気を拭き取ったあと、生のまま衣をつけて高温の油でサッと揚げます。揚げることで強いアクが和らぎ、サクサクとした食感とともにヨモギ特有の香りが口いっぱいに広がります。
おひたしにする場合は、塩を入れた熱湯で2〜3分ほどしっかり茹で、長めに冷水にさらしてアク抜きをします。水気をきゅっと絞ってから細かく刻み、胡麻和えや白和えにしたり、お餅やホットケーキの生地に混ぜ込んで「よもぎ風味」を楽しむのもおすすめです。
ヨモギは「ハーブの女王」と呼ばれるほど栄養が豊富で、古くから冷え性の改善やデトックスに効果的なお茶としても親しまれてきました。
ヨモギ茶の作り方と健康成分についても、以下の別記事で詳しく紹介しています。
3. ノアザミ(キク科)

ノアザミは、野原や堤防、畑の脇などでよく見かける、ギザギザとした鋭いトゲを持つ植物で、秋にも力強く自生しています。
「こんなにトゲがあるのに食べられるの?」と驚かれるかもしれませんが、実はキク科のアザミ属は、昔から根っこを「山ごぼう」として食べてきたほど、全部位優秀な食用野草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら
秋のノアザミは、地面に広がっている中心の柔らかい若葉(根生葉)も、上に向かって新しく伸びてきている「若い茎や葉(茎葉)」も両方食べることができます。トゲがあるので、手袋を着用してハサミなどで摘み取ってください。
なお、茎が手でポキッと折れるほどみずみずしくて柔らかければ、茎もおいしくいただけます。
おすすめの調理法は、何と言っても天ぷらです。
ヨモギ同様に下処理をした後、生の葉に少し厚めに衣をつけて、高温の油でカリッと揚げます。タラの芽とかもそうですが、油で揚げると鋭いトゲがまったく気にならなくなります。サクサクとした心地よい歯ごたえとともに、キク科ならではの野趣あふれるコクと香りが楽しめて、とても美味しい野草です。
4. ダンドボロギク(キク科)

ダンドボロギクは、空き地や畑の隅、山道などでよく見かける、少し背が高くなる直立した植物です。先端に緑色をした細長い筒のようなつぼみを上向きにたくさんつけ、のちにボロ布のような白い綿毛(これが名前の由来です)を咲かせます。
一見すると地味な雑草ですが、「シュンギク(春菊)」に似た、とても爽やかで良い香りを持つ野草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし・あえ物・炒め物・天ぷら
秋になると綿毛が飛び始めて茎が硬くなっている株が多いため、収穫する際は、比較的まだ柔らかそうな「脇から新しく伸びてきた茎の先端(脇芽)や若い葉」をハサミで摘み取ります。
おすすめはおひたしや和え物です。
塩を入れた熱湯でサッと茹でて冷水にさらし、ぎゅっと水気を絞ります。風味がしっかりしているため、胡麻和えやからしマヨネーズ和えにしても、他の素材に負けず、お箸が止まらない美味しさになります。
また、油との相性も抜群です。生のまま衣をつけて天ぷらにするのはもちろん、お肉やモツ・ツナと一緒に炒めると、力強い風味や野生の香りがまろやかになり、生の時のリーフレタスのようなシャキッとした食感が、トロッ・ふにゃっとした食感に変わります。アクが気になる場合や、より食べやすくしたい場合は、一度塩を入れた熱湯でサッと下茹でして水に晒してから炒めてください。
5. アキノノゲシ(キク科)

アキノノゲシは、日当たりの良い空き地や畑の脇などで、秋に人の背丈を超えるほど大きく成長して淡い黄色の花を咲かせる大型の野草です。レタスの遠い親戚(原種に近い仲間)で、海外では「ワイルドレタス」や「インディアンレタス」などと呼ばれています。
葉を傷つけるとレタスの芯と同じような苦味のある白い乳液が出ますが、有毒植物ではないため、下処理をすれば安心して食卓に並べることができます。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:炒め物・天ぷら・おひたし・サラダ
秋になると茎が太く木のように硬くなってしまうため、収穫する際は、地面近くに広がっている「中心の柔らかい若葉」や、茎のてっぺんにある「みずみずしい新芽」だけをハサミで摘み取ります。
レタスの仲間ということで、油との相性が抜群にいいので、一番のおすすめは炒め物やソテーです。
ちぎった葉を水洗いし、油をひいたフライパンでサッと炒めて、塩コショウやオイスターソース、醤油などで味付けをします。加熱により、シャキシャキとした歯ごたえになり、苦味も和らいで、ご飯のいいお供になります。
また、生のまま衣をつけて揚げた天ぷらも、ソテー同様苦味がマイルドになって食べやすいですし、塩茹でしたのち、しっかり冷水にさらしてアクを抜けば、淡白で噛み心地のいいおひたしやサラダとして楽しめます。
収穫前の大事なチェックポイント
アキノノゲシは、花が咲く前の若い時期の葉が、猛毒を持つ「トリカブト」などの毒草に遠目で少し似ていることがあります。誤食を防ぐため、収穫する際には必ず以下の3つの特徴をチェックしてください。
- 傷つけると白い汁が出るか
葉や茎を少しちぎると、切り口からミルクのような白い乳液がじわっと染み出してきます。これはレタスの仲間(アキノノゲシ属)特有の特徴で、毒草にはない決定的な証拠になります。 - 独特のレタス(青臭い)香りがするか
ちぎった葉のニオイを嗅ぐと、スーパーで買うレタスの芯をさらに青臭くしたような、レタス系の香りがします。 - 葉脈(真ん中の筋)の色
今回見つけた写真のように、アキノノゲシの多くは葉の真ん中を走る太い脈が赤〜紫色っぽく色づく特徴を持っています。
「白い汁が出ない」「香りが怪しい」など、少しでも疑問が残るものは採取しないようにしましょう。
6. コセンダングサ(キク科)

コセンダングサは、秋になると道端や畑の周囲で黄色い小さな花を咲かせ、その後、ペットの毛や衣服にびっしりと刺さる黒くて細長い「ひっつき虫(実)」を作ることで有名な雑草です。
子どもの頃、この実の部分を摘まみ取って、こっそり友達にくっつけたりしませんでしたか。このいたずらを思い出させる雑草も、調理の工夫次第で美味しくいただくことができます。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら・おひたし
秋のコセンダングサは花が咲いて茎が太くなると繊維が非常に硬くなり、特有の苦味やアクが強くなります。そのため、収穫は茎の根元ではなく、「まだ花が咲いていない、一番てっぺんの柔らかい若葉や新芽」だけを選んで摘み取ってください。
一番のおすすめは天ぷらです。
きれいに水洗いして水気を取った若葉に衣をつけ、高温の油で揚げます。揚げることでコセンダングサ特有の薬草のような強い香りが適度に抜け、比較的食べやすくなります。
おひたしにする場合は、アクがかなり強いためしっかりと下処理してください。塩を入れたたっぷりのお湯で3分ほど長めに茹でた後、流水に10分ほどさらしてアクを抜きます。水気をよく絞ったのち細かく刻んで、胡麻和えや白和えなど、味の濃い調味料と合わせると苦味が和らいで美味しくいただけます。
7. ヒナタイノコズチ(ヒユ科)

ヒナタイノコズチも、道端や公園の植え込みなどで、衣服やペットの毛にびっしりとくっつく緑色の細長い「ひっつき虫(実)」をつける野草です。茎の「節(ふし)」がイノシシのひざのようにボコッと膨らんでいることからこの名がついたそうです。
今でこそ「ひっつき虫」などと呼ばれている厄介者ですが、かつては「夏の七草」の一つに数えられたこともあるほどクセが少なく、昔から親しまれてきた食用野草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし・天ぷら
秋のヒナタイノコズチは、全体がかなり硬くなっているため、収穫する際は、こちらも株の根元ではなく「比較的まだ柔らかそうな、脇から新しく伸びてきた茎の先端(脇芽)や若い葉」をハサミで摘み取ります。
一番のおすすめはおひたしや和え物です。
塩を入れた熱湯で1〜2分ほど茹で、冷水に数分さらしてアク抜きをします。ザラザラとした独特の歯ごたえがあるので、水気をよく絞ったあと、細かく刻んで胡麻和えや白和えにすると、ザラつきが気にならなくなります。
また、若い葉を生のまま衣をつけて揚げる天ぷらもおすすめです。
安心のための注意点
ヒナタイノコズチの「根」は、漢方では「牛膝(ごしつ)」という生薬として使われており、子宮を収縮させる作用があるとされています。
今回ご紹介しているように、葉や茎をほんの少々おかずとして食べる程度であれば、心配するほどの影響はないと思われますが、念のため妊娠中の人や妊娠の可能性のある人は食べるのを避けてください。
8. 野生化したニラ(ヒガンバナ科)

畑の隅や道端などで、よく見かける多年草です。かつて栽培されていたものが野生化したケースが多く、普段スーパーで買うニラと同じ仲間です。秋(8月〜10月頃)になると、スッと伸びた茎の先端に、小さな白い花が丸く集まって咲き、やがて緑色のプチプチとした実をつけます。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら・炒め物・スープなど
秋のニラは根元の葉が硬くなっていることが多いですが、もし手で簡単にポキッとちぎれるくらい柔らかい葉があれば、ぜひ葉も一緒に収穫してください。
ただし、一番のおすすめは、やはりこの時期だけの珍味である先端の「つぼみや花、緑の実の部分」の天ぷらです。プチプチとした食感とニラの甘みが口いっぱいに広がる、絶品のおつまみになります。
さらに、柔らかい葉や花を支える茎(花茎)は、細かく刻んでチャーハンやチヂミ、お味噌汁や卵スープの具にするのがおすすめです。スーパーで買うニラと同じように、火を通すことで豊かな香りとシャキシャキとした食感が楽しめて、食卓の野菜不足を一気に解消してくれます。
【超重要】葉を収穫する時は「1本ずつ匂い」を確認!
ニラの葉は、お庭や花壇の近くに生えやすい猛毒の「スイセン」や「ヒガンバナ」と葉や形がそっくりです。
しかも、ニラもスイセンも、何年もかけて土の中で球根(鱗茎)がどんどん分裂して増えていく植物です。そのため、土の中でお互いの球根が完全に密着し、地上からはまるで「同じ1つの株」から生えているように混ざり合って大爆発していることがよくあります。
スイセンもヒガンバナも、少し口にしただけで、激しい嘔吐や下痢、最悪の場合、命に関わる中毒症状を引き起こすので、収穫時には以下のルールを必ず守ってください。
- 根元からドサッとまとめて刈り取らない
必ず1本ずつ目で見て、手で摘み取るように収穫します。 - ちぎって「ニラのニオイ」がするか1本ずつ確認する
ニラの葉は、ちぎるとハッキリとした強いニラの香りがします。スイセンやヒガンバナの葉にはこのニラの香りが一切なく、ただの青臭いニオイしかしません。
匂いを確認して、少しでも「ニラの香りが弱い」「ただの草のニオイがする」と感じた葉は、もったいないようでも捨ててください。
9. ノビル(ヒガンバナ科)

ノビルは、堤防の斜面や田んぼのあぜ道、庭の芝生の中などに群生する、古くから日本人に親しまれてきた野草です。先ほどのニラと同じネギの仲間ですが、ニラの葉が平べったいのに対して、ノビルの葉は「ネギのように細いチューブ状(中が空洞)」になっているのが大きな違いです。秋になると、土の中でらっきょうのように白く丸い球根(鱗茎)が育ち、収穫のベストシーズンを迎えます。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:生食(味噌付け)・天ぷら・炒め物
秋のノビルは地上に出ている葉っぱが少し硬くなっていることが多いため、食べるなら、土の中に隠れている「白い球根(根元の膨らんだ部分)」がイチ押しです。
株の根元を少し深めにスコップなどで掘り起こし、ちぎれないように丁寧に球根を収穫します。きれいに泥を洗い流して外側の薄皮をむけば下処理は完了です。
一番手軽で美味しい食べ方は、生のままお皿に盛り付け、お味噌(またはマヨネーズ味噌)をつけて丸かじりする「生食」です。エシャロットのようなシャキシャキとした食感と、ピリッとした辛みが口いっぱいに広がって、ご飯のお供やビールのおつまみに最高です。
また、衣をつけて揚げた天ぷらは辛みが消えて驚くほど甘くなり、ゆり根のようなホクホクとした食感が味わえます。もし葉っぱも一緒に食べる場合は、細かく刻んでチヂミや卵焼き、チャーハンの具に混ぜ込むと、硬さが気にならず、ネギの風味が楽しめます。
ここでもスイセンに注意
ノビルの葉も、花が咲く前のスイセンの葉と生える場所や形が似ています。ニラと同様に、「抜いたときに、しっかりとしたネギやニンニクの美味しそうな香りがするか」「葉が中空か」を必ず確認し、香りがしないものは絶対に口にしないでください。
ノビルは、フランス料理などでスープの風味付けに使われる西洋ハーブ「チャイブ(シブレット)」によく似ています。同じネギ属の仲間ではありますが、チャイブは基本的に球根を作らず、主に葉をハーブとして使います。一方、日本のノビルは、葉っぱに限らず、球根まで丸ごと美味しく食べられるのが大きな違いです。
日本の野山が育ててくれた、いわば「和製チャイブ」とも言えるノビル。らっきょうのようなエシャロットのような贅沢な味わいを、ぜひ楽しんでみてください
10. ミゾソバ(タデ科)

ミゾソバは、秋になると、先端に金平糖のようなピンク色の可愛らしい花(つぼみ)を咲かせる、小川のほとりや湿った道端、水田の脇などに群生する植物です。葉っぱの形が「牛の正面顔」にそっくりなことから、別名「ウシノヒタイ(牛の額)」とも呼ばれており、非常に見分けがつきやすい野草の一つです。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら・おひたし
茎の先端にある、新しくて柔らかい若葉や、ピンク色の花のつぼみをハサミで摘み取ります。(*茎の裏に小さなトゲがあるため、収穫時は手袋を着用すると安心です。)欲張って先端以外の葉を採ると、食べるときに繊維がかみ切れず苦労します。
イチ押しは天ぷら。
きれいに水洗いして水気を取ったつぼみや葉に衣をつけ、高温の油で揚げます。揚げることで独特の野趣あふれる風味がほどよく残った、秋の贅沢な一品になります。
おひたしにする場合は、塩を入れた熱湯でサッと茹で、冷水にさらしてしっかりとアク抜きをします。ザラザラとした歯ごたえと、少々酸味を伴う青っぽい風味があるため、水気をよく絞ったあとに胡麻和えやマヨネーズ和えなど、味の濃い調味料と合わせると食べやすいです。
11. ツユクサ(ツユクサ科)

ツユクサは、道端や畑の隅、空き地などの少し湿り気のある場所に、ごく普通に生えている一年草です。朝に咲いて昼にはしぼんでしまう、鮮やかで綺麗な青い花が大きな特徴です。その特徴的な花の形と色から、他の有毒植物などと見間違うリスクがほぼない、初心者にも安心・安全な野草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし・天ぷら・炒め物
秋のツユクサは徐々に茎が大きく伸びて硬くなっていきますが、収穫する際は、茎の先端にある「まだ花が咲いていない柔らかい新芽や若葉」をハサミで摘み取ります。
おすすめの調理法はおひたしです。
塩を入れた熱湯でサッと茹でて冷水にさらし、水気をよく絞ります。ツユクサには野草特有の苦味やアクがほとんどありませんが、茹でるとツルツル・ネバネバとした粘り気が出ます。 お醤油やめんつゆよりはポン酢やごまドレッシングなどをかける食べ方のほうが人気です。
また、生を天ぷらにしても美味しいですし、他の野菜やお肉と一緒に野菜炒めの具材としてフライパンでサッと炒めるのもアリです。
12. スベリヒユ(スベリヒユ科)

スベリヒユは、日当たりの良い畑や庭、コンクリートの隙間などに生えている、非常に生命力の強い雑草です。地面を這うように伸びる赤みがかった肉厚の茎と、ぷっくりとした小さな葉が特徴です。
繁殖力も強く、草取りの大敵ですが、実は「オメガ3脂肪酸」やビタミンが豊富なスーパーフードで、山形県では「ひょう」と呼ばれて日常的におひたしなどで親しまれているほか、ヨーロッパでも高級ハーブとしてサラダに使われるなど、世界中で愛されている優秀な食用雑草です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし(ナムル)・天ぷら
夏から秋にかけて長く収穫できますが、育ちすぎて太く硬くなった根元の茎は避け、「ツルの先にある新しくて柔らかい茎や葉」をハサミで摘み取ります。
一番のおすすめはおひたしや和え物(ナムル)です。
ほうれん草と同様「シュウ酸」を多く含んでいるため、塩を入れた熱湯で1〜2分ほど茹で、冷水にしっかりさらしてアクを抜きます。
水気を絞ると、ツユクサと同じようにツルツル・ネバネバとした粘り気と、ほんのりとした爽やかな酸味が出るのが最大の特徴です。 ごま油、塩、ニンニク、白ごまで和えて「ナムル」にしたり、からし醤油やポン酢で和えると、お箸が止まらない絶品おかずになります。
また、生のまま衣をつけてサクッと揚げる天ぷらも、酸味がまろやかになり、外はサクサク、中は少しトロッとした食感の変化が楽しめるおすすめの一品です。
13. ギシギシ・スイバ(タデ科)


ギシギシとスイバは、畑の周囲や堤防の土手、道端などでごく普通に見かける、ほうれん草を大きくしたような細長い葉を持つ「タデ科」の多年草です。この2つは非常によく似た親戚同士の植物で、どちらも古くから世界中で食用として親しまれてきました。
葉の付け根が丸みを帯びているか、緩やかなハート型で、刻むと独特のとろみ(ぬめり)が出るのがギシギシ。付け根が矢の先端のように尖って下に伸びていて、噛むとレモンのような爽やかな酸味があるのがスイバです。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:おひたし・スープ・天ぷら
秋の大きく広がった古い葉は繊維がとても強く、ゴワゴワとしていて美味しくありません。そのため、収穫する際は、株の中心近くから新しく生えてきている「小さくてみずみずしい若葉(新芽)」だけをハサミで摘み取ります。
一番のおすすめはおひたしです。
どちらも「シュウ酸」を多く含んでいるため、塩を入れた熱湯でサッと茹で、冷水に数分さらしてしっかりアクを抜きます。水気をよく絞ってからポン酢をかけたり、細かく刻んで納豆に混ぜると、ギシギシは特有の「つるん」とした心地よいぬめりと酸味が楽しめます。
また、スイバは独特の酸味を活かして、お味噌汁やコンソメスープの具材にすると、レモンを少し絞ったような爽やかな味わいになります。
両方とも生のまま衣をつけて揚げた天ぷらにすると、中が少しトロッとした食感に変わり、サクサクの衣との相性が抜群です。
14. オオバコ(オオバコ科)

オオバコは、公園の広場や道端、庭の隅など、人がよく歩く踏み固められた場所に必ずと言っていいほど生えている身近な雑草です。
子どものころ、真ん中に伸びている茎を取ってオオバコ相撲をした人も多いのではないでしょうか。
オオバコは、スプーンのような形をした丸くて硬い葉が地面にペタッと放射状に広がり、葉をちぎると、中から白い糸のような強靭な「筋(すじ)」が何本も伸びてくるのが特徴です。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら・おひたし
秋のオオバコは葉が育って少し硬くなっているものが多いため、収穫する際はできるだけ「新しく生えてきた、小さめでツヤのある若葉」を中心にハサミで摘み取ります。
一番のおすすめは天ぷらです。
きれいに水洗いして水気をよく拭き取ったあと、衣をつけて高温の油で揚げます。揚げるとあの硬さが消え、パリパリとした軽いスナックのような食感になり、とても美味しくいただけます。
おひたしにする場合は、もともと繊維がしっかりとした植物なので、塩を入れた熱湯で3〜4分ほど少し長めに茹で、冷水に数分さらしてアク抜きをします。そして、水気をよく絞ったあと、繊維を断ち切るように細かく刻んでから、胡麻和えやかつお節醤油で和えるのが、口当たりをよくするコツです。
なお、オオバコは葉っぱだけでなく、スッと伸びた穂についている「オオバコの実(タネ)」も立派なごちそうです。
茶色く熟した穂を摘み取り、よく洗ってしっかり乾燥させたあと、フライパンで香ばしく煎ります。これをすり鉢などで軽くすりつぶし、塩やごま、お好みで細かく刻んだ塩昆布などと合わせると、プチプチとした食感と香ばしさがたまらない「自家製ふりかけ」に変身します。ご飯のお供にぴったりですので、こちらもぜひ試してみてください。
オオバコは、漢方では「車前草(しゃぜんそう)」と呼ばれ、煎じてお茶にすると咳止めなどの効果が期待できる優れた薬草でもあります。
オオバコ茶の作り方と期待できる健康成分についても、以下の別記事で詳しく紹介しています。
15. クズ(マメ科)

これまでずっと足元にばかり目を向けてきましたが、少し目線を上げてみてください。
クズは、「秋の七草」の一つとして古くから日本人に親しまれてきた一方で、川べりや空き家の壁、道路わきの斜面などに凄まじい勢いで繁殖する、非常に生命力が強い「マメ科」のつる性植物です。
クズと言えば、葛粉が有名ですが、葛粉の元である根(塊根:かいこん)の他に、秋だからこそ狙いたい、驚くほど美味しい「絶品部分」が隠れているのをご存知でしょうか。
秋に食べられる部位とおすすめの調理法:天ぷら
大きく開いて成長した古い葉は繊維が非常に強く、ゴワゴワしていて調理しても硬くて食べられません。
狙うのは、つるのてっぺん(先端)で、茶色っぽいうぶ毛をびっしりとまとったままぐっと前へ伸びている「柔らかいつるの先端(若芽)」です。先端から10〜15cmほどの部分を、手で折って収穫します。
おすすめは、何と言っても天ぷらです。
きれいに水洗いして水気をよく拭き取ったあと、全体を覆っているうぶ毛をむしり取ったりせず、そのまま衣をつけて高温の油で揚げます。うぶ毛が完全に消え去り、驚くほどサクサクとした軽い食感に変わり、マメ科ならではのほんのりとした上品な甘みとコク(お芋のような濃厚な風味)が嬉しい一品の出来上がりです。
【超重要】そっくりな「タンキリマメ」の若芽に要注意!
クズの若芽を探していると、同じマメ科のつる植物である「タンキリマメ」や「トキリマメ」などが混ざっていることがよくあります。
タンキリマメもトキリマメもうぶ毛が生えた3枚の葉(3出複葉)で、ツルの先端が伸びる姿はそっくりですが、タンキリマメの新芽は食用にはなりません。
- クズ
- 葉:成長すると大人の手のひらよりも大きく、縁に2〜3個の切れ込みがある(アヒルの足のような形)が、小さいうちはまだ切れ込みがはっきりしない。裏面が白い
- うぶ毛:白〜茶色っぽい
- ツル:空に向かって立ち上がるように力強く伸びる
- タンキリマメ
- 葉:クズの葉をそのままミニチュアにしたようなサイズ感で、切れ込み無し
- うぶ毛:少し茶褐色(赤茶色)が強い
- トキリマメ
- 葉:先端がとがっておらず、丸っぽい卵型
- うぶ毛:薄く、白から黄褐色
葉っぱがまだ小さく、クズの赤ちゃん(若葉)かタンキリマメか100%区別がつかないときは、食べないようにしてください。

実は、記事のトップにあるアイキャッチ画像(竹ざるに並べた野草の写真)に写っているつるは、クズではなく、多分トキリマメだと思います。
本当にクズの赤ちゃんと区別がつかないほどそっくりだと思いませんか?
こんなふうに葉っぱが若いうちは、野草採集にかなり慣れている人でも間違うほど、マメ科のつる性植物はよく似ています。収穫の際は必ず周囲の大きな葉っぱに切れ込みがあるかどうか確かめてくださいね。(ちなみに、トキリマメの若芽は食用可です。)
まとめ
毎日の食卓を助けてくれる、秋の「食べられる野草・雑草15種」を紹介しました。
スーパーの野菜高騰に頭が痛い今日この頃ですが、こうして少し視点を変えてみると、これまで「厄介者」扱いされていた道端や庭の雑草たちが、実はサステナブルで体にもいい、豊かな自然の恵みであることに気づかされます。
今回紹介した野草たちは、どれもおひたしや天ぷらなどで美味しくいただける身近なものばかりです。ぜひ、安全な見分け方のルールを守りながら、秋の宝探しを楽しんでみてください。(地域によってはすでに食用に向かない状態になっているものもあるので、注意してください。)

初めて野草摘みに挑戦する人は、あらゆる点でハードル低めのタンポポやヨモギから試すといいよ!
なお、当ブログでは、身近な素材を無駄なく大切に使い切る「暮らしの知恵」を他にもたくさんご紹介しています。
例えば、普段は捨ててしまいがちな「果物の皮を使った自家製茶の楽しみ方」や、熟す前に風で落ちてしまった果実を有効利用する「落ちた梅で作る梅エキスの作り方」など、SDGsにも貢献できるアイデアばかりです。


自然の恵みをありがたく、無駄なくいただくサステナブルなライフスタイルを、ぜひお家で一緒に楽しんでみませんか。


