海賊船や難破船の財宝に、埋蔵金や古い時代からの遺物。
今回ご紹介するのは、高価な金属探知機を使い、歴史的・金銭的に価値の高い宝物を探し出す一攫千金狙いのトレジャーハンティングではなく、家族でお出かけした際、アウトドアレジャーの一環として、親子で楽しめる学習ゲーム的なトレジャーハンティングです。
一般的な子ども向けトレジャーハンティング

子ども向けのトレジャーハンティングというと、室内だろうと、屋外だろうと、あらかじめ大人が宝物を隠しておき、それを子どもたちに見つけさせるのが一般的だと思います。
- 宝の地図を用意する
- 子どもが興味を持ちそうなテーマ(誰かの大切なものがなくなったなど)を設定する
- 次々にヒントを見つけ、謎を解かないと宝物にたどり着けないなど、子どもの年齢に合わせて様々なレベルを用意する
- 制限時間を設ける
こういった工夫次第で、子どもたちは好奇心ややる気を刺激され、ゲームを通して情報を読み取る力や考える力を身につけます。
また、ペアやグループで行う場合はコミュニケーション力や協調性の育成にも役立つので、幼稚園や保育園では人気のゲームになっています。
ただ、一般的なトレジャーハンティングゲームはいったん宝物を見つけてしまえば、ゲームオーバー、お楽しみも終わりです。
一方、遊びと学びのトレジャーハンティングでは、宝物を見つけた後にもお楽しみが期待できます。
遊びと学びのトレジャーハンティング

一般的なトレジャーハンティングとの違いの1つは、事前に宝物を用意しないことでしょう。
これは、海や山や川に、キャンプやBBQ、水遊びや砂遊び、単に散歩に出かけたついでに、見つけたものすべてが宝物になるからです。
ミニ金属探知機を使うので、見つかる可能性が高いのは、
- お金やアクセサリーなどの貴金属(過去からの贈り物)
- 錆びた釘や針金、プルタブ、釣り針といった金属製のジャンク・がらくた(未来への贈り物)
の2種類です。
2種類の宝物

過去からの贈り物
お金やアクセサリーなどの貴金属は、新しいものであれ、古いものであれ、壊れているものであれ、いくらかの金銭的価値を持っています。
ただ、見つけた時点ではまだ宝物とは言えません。
たとえその価値が低かったとしても、それが自分の落としたものでない以上、警察に届け出る義務があるからです。
そうして正規の手続きを踏んだ後、
- 3か月以内に落とし主が判明した場合:見つけたものの価値の5%から20%の間で報労金をもらう権利
- 3か月以内に落とし主が判明しなかった場合:見つけたものを受け取る権利
が生まれます。
つまり、3か月たって初めて、見つけたものが金銭的な価値のある宝物になります。
ただし、発見してから7日以内に届出をしないと、上述した権利を失います。(管理する人がいる施設内で見つけた場合は24時間以内の届け出が必要な上に、報労金も施設と折半になります。)
こういった落とし物を見つけた時のルールを学び、正しい行いをすること、社会のルールを学ぶことが、実は本当の宝物です。
1円玉や10円玉、安価な素材でできたアクセサリーなど、わざわざ届け出る価値はないと大人なら考えるでしょう。
けれど実際に交番に届け出ると、たいていお巡りさんから善い行いをしたことをほめられ、持参したものをそのまま持ち帰っていいと言われる確率が高いです。
そこで得られる喜びこそ、何物にも勝る宝物であり、過去からの贈り物と言えるのではないでしょうか。
未来への贈り物
英語のことわざに、「ある人にとってはゴミでも、他の誰かにとっては宝物」(“One man’s trash is another man’s treasure.”)ということわざがあります。
「錆びた釘や針金、プルタブ、釣り針のようなジャンク・ガラクタが宝物?」と思われるかもしれませんが、「ちりも積もれば山となり」、銅・鉄・アルミ製品等は、屑鉄屋や金属スクラップの買い取り業者に持ち込めば、換金できる可能性があります。
また、金属性のガラクタに限らず、おそらく一緒に見つかる可能性が高いプラスチックやガラスの破片などもリサイクルすることによって、
- 誰かがけがをするのを防ぐ
- 生態系に与える悪影響を減らす
- 環境美化
と、SDGsに貢献できます。
現在ではゴミとしか思えないジャンクやガラクタですが、よりよい未来のために見つけてほしい宝物です。
トレジャーハントができる場所
幼稚園や保育園に通うお子さんでも簡単にできる遊びと学びのトレジャーハンティングですが、日本ではどこででもできるというわけではありません。
トレジャーハンティング禁止の場所:
- 他人の所有地(許可があればOK)
- 文化財保護法などで保護されている地所
- 立ち入りが禁止されている場所
- 国立公園や公有地
- 公序良俗に反する場所
ちなみに、ビーチや河原は国有地なので、安心してトレジャーハンティングが楽しめます。
道路(公道)脇の側溝やちょっとした草むらなどは、国や地方公共団体の管理下にある場合と隣接する私有地の場合があります。ただ、境界線が見えるわけではないので、どちらの所有地か見極めるのは難しいです。
トレジャーハンティングをする場合は、車両の往来に気をつけながら、できるだけ道路に近い位置にとどまるようにしましょう。
用意しておきたいもの
金属探知機を使った遊びと学びのトレジャーハンティングをするなら、以下のものを用意しておくといいでしょう。
- ミニ金属探知機
- 金や銀を含む数種類の金属の探知が可能。ただし、小さすぎる物や遠く(深く)のものは探知できない
- 半分(先端)が防水
- 安価(2,000円前後)
- 持ち運びに便利な軽量ミニサイズ
- 9Vバッテリーはついていないので、ホームセンター等で別途購入しなければならない
- 作業用手袋
- 発見したものや近くに交じっているガラス片などの危険物、害虫などに触れないため(安全対策)
- ミニ熊手・レーキ
- 大きな石などをよけるのに便利
- スコップを使う場合と違って、掘り返した返した穴を埋めなくてもいい
- ゴミ袋
- 自分たちが出したゴミを含め、トレジャーハンティングで見つけたガラクタ類も持ち帰るのが基本
- 持ち帰れない場合は、地域のごみ収集ルールに従い、指定されたゴミの集積場に持って行く必要あり
- 子ども用フローティングベスト
- フローティングベスト:落水した場合に、着用している人を浮かせて、溺れるのを防ぐ
- 水際でのレジャー時の安全対策グッズとして人気
- 桜マーク(国が安全性を確認したものに付与される)なし
- 価格はライフジャケットの半分以下
まとめ
ミニ金属探知機を使った遊びと学びのトレジャーハンティングは、アウトドアレジャーの一環として、親子で楽しめる学習ゲーム的なトレジャーハンティングです。
お子さんと一緒に正しいこと、社会の役に立つことをしつつ、宝探しの楽しみを存分に味わってください。