うちでは毎年、さつまいもを作っていますが、今年は本当に不作で、親指くらいの太さしかないくずいもが大量に採れました。
植え付けのときの苦労を考えると、もったいなくて棄てることはできません。かといって、丁寧に保管するほどのものでもありません。
そこで、そんな掘りたてのくずいもでもおいしく食べる方法を考えました。
今回は、フライドさつまいもの砂糖衣の作り方とともに、
- さつまいもの甘さを引き出す方法
- 砂糖を白く結晶化させる方法
を紹介します。
追記:
ダイエット中の人向けに、さつまいもババロアのレシピを追加しました。
いいさつまいもとは
一般的にいいさつまいもとは、甘さがのったさつまいものことでしょう。
見た目的には、①皮の色が鮮やかで均一、②めん棒のような形(両端が太めで、まっすぐ)で、③表面に凹凸やひげが少ないものがいいさつまいもとされています。
ただ、どれだけ見た目がよくても、掘りたてのさつまいもはまだデンプン質が糖分に変わっていないので、それほど甘くありません。
品種によって多少の違いはありますが、2週間から2か月程度追熟させる必要があります。
追熟の仕方:
- 泥が付いたままのさつまいもを、2~3日日陰干しする。
- その後、さつまいもを新聞紙にくるみ、室内(常温)で保管する。
砂糖衣をまとったフライドさつまいもの作り方
材料:
- さつまいも 1日で食べきれる量
- 塩 小さじ1くらい
- 水
- 食用油
- 砂糖 お好みの種類・量
さつまいもはビタミンや食物繊維といった栄養が豊富なので、食後血糖値の上昇を緩やかにしたり、余分なコレステロールを吸着して体の外へ出してくれる健康食材です。
ただ、フライドさつまいもの砂糖衣には砂糖や油を使うので、ダイエット中の人や糖尿病の人、高脂血症の人向きとは言えません。
健康効果を望む場合には、さつまいもババロアをおすすめします。
さつまいもの甘さを引き出す方法
今回使用するのは、写真のような掘りたてのくずいもばかりです。
そこで、甘さを引き出すために、まず塩の力を借ります。
1.さつまいもをきれいに洗い、フライドポテトくらいのサイズに皮付きのまま切ります。(皮と皮の近くに栄養がたっぷりついています。)
2.ボールに、切ったさつまいもと小さじ1杯分ぐらいの塩、さつまいもがつかるぐらいの水を入れます。
3.そのまま15分~一晩くらい、できれば冷蔵庫に入れておきます。
ビタミンが溶けだしてしまうのが気になる人は短め、塩分を吸収させたい人は長めがおすすめです。
どっちも捨てがたいという人は、ジップロックなどの密閉できる袋に切ったさつまいもと少量の食塩水を入れ、できるだけ空気を抜いて一晩放置します。
4.塩水に浸してあったさつまいもを取り出して新聞紙の上に広げ、完全に乾くまで放置します。
急ぎの場合は、ペーパータオルなどでしっかりと水分をふき取ってください。
実は、さつまいもの甘さを高めるのは酵素です。
さつまいもに含まれている酵素は、約60〜70度の低温で活性化し、じっくり時間をかけることでより多くの糖分を生み出すと言われています。
そこで、今度は調理の際の温度を工夫します。
5.フライパンの中に乾いたさつまいもを入れ、そこにオイルを投入します。全体がオイルにつからなくても大丈夫です。
6.弱火で油を温め(コールドスタート)、ブクブクと泡が立たないよう、なるべく長い時間(最低でも15分くらい)低温を保ちます。
中央のほうが温度が高いので、たまに菜箸でおいもを動かして、全体の温度が均等になるようにします。
7.十分に低温状態を保った後、ぽつぽつと泡が出る程度(中弱火)まで火力を上げます。
8.水分が抜けて、さつまいもの匂いがし始めたら、火力を一気に強火にします。
9.乾いた新聞紙の上に、素揚げしたさつまいもを広げて油をきります。
10.手で触れるくらいまで素揚げしたさつまいもが冷めたら、高温の油で今度は少量ずつ、からっと揚げます。(2度揚げ)
11.油をきります。
外はかりっと、中はほくほくした感じの優しい甘さのフライドさつまいもは、このまま食べるのもありです。
ただ、フライドさつまいもはよく作るので、今回はさらにひと手間加えて、さつまいもに結晶化した砂糖をまとわせ、甘納豆っぽく仕上げることにしました。
砂糖を白く結晶化させる方法
1.フライパンの油を別容器に移し、さつまいものひげ等が残っていたら、余分な脂とともにふき取ります。
2.フライパンに砂糖と、砂糖が湿る程度の水を入れて、混ぜ合わせます。
(この時は三温糖大さじ2、水大さじ1弱を投入。)
3.フライパンを弱火にかけながら、湿った砂糖を混ぜ続けます。
4.砂糖が解けて白っぽい液状になったら火を止め、2度揚げしておいたさつまいもを入れて混ぜます。
(三温糖なので、わかりにくいかもしれませんが、フライ返しの上のほうを見ると、白っぽくなっているのがわかると思います。)
5.フライパンの底から持ち上げるようにして混ぜ続けていると、始めは液状だった砂糖が冷めて、白い粉状になっておいもに絡まります。その頃にはくっついていたさつまいもがバラバラになっています。
砂糖を結晶化させるには、①白い液体状になったところで必ず火を止め、②混ぜ続けて温度を下げなければなりません。
火を止めないと、加熱が進んで砂糖はカラメル状になり、さつまいもがべたべたになります。(かりんとうっぽい?)そして、さらに加熱すると飴状になり、さつまいも同士がくっついて離れなくなります。
*フライドさつまいもの砂糖衣を作るときは、1日で食べきれる量を作るようにしましょう。暑いところに置いたり、時間がたつと、結晶化した砂糖が溶けてべたべたしてきます。
さつまいもババロアの作り方(ダイエット中の人向き)
正確にはババロア風です。
柔らかいうえに砂糖をほとんど使っていないので、お年寄りの介護食や赤ちゃんの離乳食にもいいかもしれません。
材料:
- さつまいも フライパンを埋め尽くすくらい
- 塩 小さじ1くらい
- 水
- 粉ゼラチン 10g
- 砂糖 大さじ1.5~2
- 牛乳 600㏄くらい
- (お好みで)はちみつ:離乳食にするときは入れないでください。
1.ボールにきれいに洗ったさつまいもと小さじ1杯分ぐらいの塩、さつまいもがつかるぐらいの水を入れます。
2.そのまま15分~一晩くらい、できれば冷蔵庫に入れておきます。
カットこそしませんが、ここまではフライドさつまいもの砂糖衣がけと同じです。
3.フライパンにさつまいもを敷き詰め、つけるのに使った塩水を、さつまいもが3分の1つかるぐらいまで注ぎ入れます。
4.フタをした後、サイズにもよりますが、弱火で40分くらい蒸し煮にします。(コールドスタート)
途中、ふたを開けて、おいもをひっくり返したり、場所を移動させます。
5.竹ぐしを刺して、十分に柔らかくなっているのを確認したら火を止め、フタを戻して冷めるのを待ちます。
水分が残っていたら、冷ます前に流しに捨ててください。
本当はこの状態で一晩おいたほうが甘みはのっています。
蒸しさつまいものもう1つの作り方:
- 塩水につけておいたさつまいもを塩水後とキッチンペーパーで包みます。
- キッチンペーパーで包んだおいもをさらにラップで包みます。
- 電子レンジに入れて、600wで1分~2分加熱し、さつまいもの内部温度を一気に60~70℃に上げます。
- その後は解凍機能に切り替えて、おいものサイズにもよりますが、20~25分ほど加熱します。
- 竹串がすっとはいらないようなら、さらに数分加熱します。
ダイエット中なら、蒸し煮さつまいもの状態で食べるのがベストです。ただ、蒸し煮しただけでは、スイーツを食べたい欲求が満たされないと思うので、ほんの少しの砂糖ともうひと手間を加えます。
6.さつまいもの皮をむきます。
横にむくと簡単に薄く皮が剥がれます。
7.残りの牛乳を耐熱ボールに入れて、電子レンジで3分くらい加熱します。
8.待っている間に砂糖と粉ゼラチンをババロアを入れる大きめの容器に入れ、よく混ぜ合わせておきます。
9.ミキサーに皮をむいたさつまいもと牛乳150~200ccを入れ、さつまいもペーストを作ります。
(今回は650gほどのペーストができました。)
10.温めた牛乳の中に、ゼラチンと砂糖のミックス(ステップ8)を入れてよくとかし、その後、さつまいもペースト(ステップ9)を入れて、しっかりと混ぜ合わせます。
ペーストはとけにくいので、最初は混ぜるのではなく、泡だて器を上下に動かす感じにするといいです。
この時、味見をして甘さが足りないようなら、はちみつを加えます。
11.ババロア液(ステップ10)を容器に入れ、全体を軽くかき混ぜます。
12.容器を冷蔵庫で冷やします。
(しっかり固まるまでだいたい2~4時間はかかると思います。)
*混ぜるさつまいもペーストの量を減らすと、ゼリーっぽくなります。
*さつまいもを甘みの少ない硬めの栗(火を通したもの)に変えれば、栗のババロアになります。
まとめ
掘りたてや見た目が悪いさつまいもには、今一つ甘さがのっていません。
けれど、
- 塩の力を借りる
- コールドスタート後、できるだけ時間をかけて低温で調理する
ことで、くずいもですらおいしいおやつに早変わりします。
ぜひ見た目が悪くても安いさつまいもを手に入れて、秋の味覚を満喫してください。
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