年齢が上がるにつれ、残念ながら訃報に接する機会が増えてきます。
先日、新聞の訃報欄で、大学の同じ研究室の先輩であり、同期の友人のご主人でもあった方が亡くなられたと知りました。
追悼の意を表す方法はいくつもありますが、故人との関係とご遺族の意向を鑑みて、私は弔電を送ることにしました。
今回の記事は、
- 故人(あるいはご遺族)との関係別お悔みの伝え方
- 弔電サービス(NTT、日本郵便、VERY CARD 比較)
に関する自分への覚え書きです。
葬祭ディレクターの方々が「かくあるべし」と言われるマナーと過去の経験をもとに、個人的見解を述べています。
お悔みの伝え方
訃報に接した際、追悼の意をどう表すかは、誰しも悩むところではないでしょうか。
たいていは、
- メールや電話でお悔やみを伝える
- 通夜・葬式・告別式など、葬儀に参列する
- 香典など、ご霊前に金銭を供える、または送る
- 供花など、供物を贈る
- 弔電を送る
- 弔問に伺う
- お悔み状を送る
の中から、1つまたは複数の方法でお悔みを伝える人が多いと思います。
ただ、どのような形でお悔やみを伝えるにしろ、大切なのはご遺族の心情や意向を尊重することです。
遺族の意向
最近は、以前とは異なる形で故人のお見送りをされるご遺族が増えてきています。
- 家族葬・1日葬・直葬が増えてきた。
- 家族葬においては、香典や供物を辞退されることが多い。
- お坊さんを呼ばないなど、仏式離れが見られる。
葬儀に関する作法やマナーも、地域や宗教によって違うことがあります。
- 仏教以外の宗教の場合、
- 数珠は使わない。
- 香典はお花料としてお渡しする。(キリスト教)
- お悔みではなく、慰めの言葉をかける。(キリスト教)
- 死は悲しむものではないので、お悔みは言わず、平安を祈る。(神道)
- 香典返しを簡素化し、代わりに受け取った香典の半額程度を地元の福祉団体に寄付するのが一般的な地域がある。
- 香典の金額にはかなりの地域差が見られる。
ご遺族に気を遣わせたり、失礼がないような形でお悔やみを伝えるには、「葬儀のスタイル」「地域のしきたり」「宗教」に注意を払うことが大切です。
故人との関係
故人との(あるいはご遺族との)関係も、お悔やみの仕方を決める際に、考慮しなければならない重要な要素の1つです。
親しい・近しい間柄であれば、訃報の連絡もメールや電話などでじかに届くでしょうし、その場合は知らせを受けたのと同じ手段で、まずお悔やみの言葉をかけるのが普通です。
けれど、人づてに逝去の話を聞いたとか、私のように偶然訃報欄で名前を目にしたという人が、突然メールや電話でお悔やみを言うのは、ご遺族にぶしつけだととられる可能性のほうが高いような気がします。
遺族の意向を尊重した故人・遺族との関係別お悔やみの伝え方
では、ご遺族の心情や意向、故人・遺族との関係を考慮に入れた場合、はたしてどのようにお悔みの気持ちを伝えるのが適切なのでしょうか。
*葬儀のスタイルが一般葬(あるいは家族葬でも香典や供物を辞退されていない)場合についての考察です。
3親等以内の親族・血縁
3親等以内の親族・血縁であれば、どのような形でお悔やみを伝えても、基本的に問題ありませんが、ご遺族に寄り添って葬儀から火葬場まで参列し、香典を包むのが一般的です。
関係性がより近い場合は、加えて葬儀場に供花や供物も供えます。
注意事項:
- 香典の全国的な相場は1-5万円です。
- 高額すぎる香典は、香典返しに気を遣わせるため、かえって失礼に当たる可能性があります。
- 近しい親族・血縁といえども、親しくお付き合いしていない場合は、直接的でない形でお悔みを伝えるほうが無難だと思います。
- どれだけ親しく近しい間柄でも、どんな形で故人のお見送りをするかは、喪主を始めとするご遺族が決めることです。
ただでさえ悲しい思いをしているご遺族の方々に、余計な口出しをしてさらに心労を負わせるような真似は慎むべきです。
遠縁・姻族
遠縁や姻族は、
- 近くに住んでいる場合:香典(相場は5千-1万円)を包んで葬儀に参列する
- 日帰りが難しいほど遠方に住んでいる場合:香典を現金書留で郵送(またはより近しい親族・血縁にひとまず香典を立て替えておいてもらう)したり、葬儀場に供物を送る
のように、地理的要因によってお悔みの伝え方が変わります。
友人・仲間
友人・仲間の場合は、葬儀に参列するのが一番喜ばれると思います。その際、通常
- 社会人:香典(相場は5千-1万円)を供えます。
- 18歳以上の学生:香典(相場は3千円程度)を供えます。
- 高校生以下の学生:香典は必要ありません。
注意事項:
- 学生の会葬の服装は、制服が基本で、制服がない場合はスーツ類が妥当です。
友人・仲間の家族
友人や仲間のご家族が亡くなれた場合、葬儀に参列するかどうかは、逝去の連絡をどのように受け取ったかで異なります。
- 友人・仲間から直接連絡があったとき:
- 近くに住んでいる:香典(相場は3-5千円)を包み、葬儀に参列するのが一般的です。
- 遠方に住んでいる:香典や弔電を送ります。
- 人づてに聞いたとき:
- 香典や弔電を送るのが礼にかなっているでしょう。
- 以前は親しくしていても、その時点では友人と交流がなかった・疎遠になっていたという場合は、送る側の気持ち次第で、香典や弔電を送ってもいいですし、何も送らなくても問題ありません。
会社関係者
- 香典を供えるのが一般的です。
- 故人が同僚の場合:相場は3-5千円
- 故人が上司や部下の場合:相場は5千ー1万円
注意事項:
- 若手の社員が高額の香典を包むと、年長者や上司の立場がなくなるので、配慮が必要です。
- 社内に葬儀に関する規定がある場合はそれに従います。
- 社で連名で香典を送る場合は、ひとり当たりの金額が相場よりも少額になるのが普通です。
- 葬儀への参列は代表者に託されることが多いようです。
- 葬儀が勤務から離れた遠方で執り行われる場合、参列する代わりに香典を現金書留で送り、弔電や供物を送ります。
- 社内でも上位の人が亡くなった場合、都市部においては葬儀の手伝いを頼まれることがあります。
会社関係者の家族
- 近距離の場合:葬儀への参列は代表者が、香典は個人でよりも連名で用意し(相場はひとり当たり千円程度)、代表者に託すケースが多いようです。
- 遠距離の場合:こちらも連名(部署名や会社名)の香典を現金書留で送る、または連名(部署名や会社名)の弔電や供物を送ります。
注意事項:
- 故人と面識がない場合は、香典を出さないことがあります。
- 連名で送った香典については、通常香典返しを辞退します。
近隣の住民
住民同士の付き合いが密な田舎(特に農村地帯)では、
- 香典を包んで、通夜(ご自宅で行われることが多い)か、お葬式に参列する
- 香典の相場は3-5千円ですが、たいていは記録を取っていて、以前自分の家族が亡くなった時にもらったのと同額を返す
- 出棺の際にはお見送りをする
- 平日に葬儀がある場合、各家庭から1名ずつ、仕事を休んでまでもお手伝い(受付での記帳や香典の受け取り、会場への案内など)をするのが習わしの地域がある
など、昔の五軒組や村八分に係わるしきたりの名残がうかがわれます。
弔電サービス
私が弔電を選んだ理由
私が弔電でお悔やみを伝えることにしたのは、
- 故人は大学の先輩で、友人のご主人
- その友人夫婦とは、ここ30年ほどすっかり疎遠になっていた
- お亡くなりになったことは新聞の訃報欄で偶然知った
- 仏式の家族葬で喪主は友人
- 香典や供物を辞退しているわけではない
- 通夜は翌日、葬式は翌々日に、私の自宅から車で2時間ほどの市の葬儀場で営まれる予定
といった状況を総合的に判断した結果です。
香典を現金書留で送るのはかえって友人に気を遣わせることになると思い、かといって弔電だけというのもどうかと思ったので、正確にはVERY CARD の「プリザーブド電報」を送りました。
弔電サービスの比較
弔電というと、以前はNTTのサービスが主流でしたが、現在は郵便局を始め、5-10種類の電報サービスが利用可能です。
そこで、以下に私が利用したVERY CARD とNTTや郵便局の電報サービスの違いをまとめてみました。
VERY CARD | NTT | 日本郵便 | |
---|---|---|---|
申し込み先・方法 | VERY CARD | NTT東日本D-MAIL NTT西日本D-MAIL 電話(115) | Webレタックス 郵便局窓口 |
料金設定 | 350字まで一律料金(最安値1,650円) | 電報料+台紙料金 電報料(電話申し込み):1ページ(300字まで)1,760円+330円(2ページ目以降) 電報料(D-MAIL申し込み):1ページ(300字まで)1,320円+330円(2ページ目以降) | 文字制限なしの全国一律料金(最安値:524円) |
支払方法 | クレジットカード キャリア決済(携帯・スマホ) | クレジットカード 電話料金に加算(要会員登録) d払い | クレジットカード 郵便局窓口 |
配送受付時間 | ~午後2時:当日配送(一部地域を除く) | 午前8時~午後2時:当日配送 午後2時~午前0時(D-MAILでの申込みのみ):翌日午前8時以降 | ~午後3時30分:おおむね当日配送 |
台紙・電報の種類 | 台紙23種類 お供え電報 フラワー電報 供花 | 台紙13種類 お供え電報 フラワー電報 | 台紙6種類 |
総合的に見て、VERY CARD がいち推しです。
さらに、VERY CARDは、
- Webで簡単申込み
- 弔電の送り方・マナーの説明
- 敬称・忌み言葉・例文付き
と、弔電に不慣れな人にも利用しやすいサービスになっています。
最後に
近年、もともと核家族が増えてきたところにコロナ禍の影響もあって、一般葬から家族葬や1日葬、直葬へと、葬儀スタイルが多様化、簡素化してきています。
訃報に接した際には、何よりもご遺族の心情や意向を尊重し、故人との関係を考慮に入れて、お悔やみの気持ちを伝えるようにしましょう。