あなたは去年、どんな新年の抱負を立てましたか?
おなか回りが気になってきたんで、ダイエットで痩せようかな、と。
それで結果はどうでしたか?
新年の抱負というのは、新しい年を迎えるにあたっての計画や決意、目標のようなものです。
日本でも毎年たくさんの人が新年の抱負を立てているようですが、bondavi(ボンダヴィ)株式会社が2021年に行った「新年の抱負」の実態調査アンケートによると、同年12月末の時点で「抱負を達成できた」と回答した人は全体の19%ほどでした。
一方、一般社団法人マンダラチャート協会がその翌年に行った2022年に立てた「新年の抱負」と「目標設定」の実態調査アンケートでは、わずか6.7%の人しか「100%以上抱負を達成できた」と答えていません。
調査を行った年度や団体が異なるため、単純に数値を比較することに意味はありませんが、いずれの結果も新年の抱負を達成するのがいかに難しいか示していることに変わりはありません。
- いったいなぜ新年の抱負を達成するのは難しいのでしょうか。
- 確実に新年の抱負を達成するにはどうすればいいのでしょうか。
今回の記事ではそんな疑問にお答えします。
新年の抱負が達成できないわけ
モチベーションが維持できない
新年の抱負が達成できるかどうかを左右する要因の1つに、どれだけモチベーションを維持できるかどうかがあります。
例えば、好きなことや興味のあることなら、いつまででも続けられるでしょう。
けれどその反対で、特に好きでもなければ興味があるわけでもないこと、自分が本当にしたいと望んでいるわけではないことには、なかなか食指が動きません。
特に見栄を張って立てた抱負や「おすすめの新年の抱負リスト」から選んだ抱負は、達成できるどころか、いつの間にか忘れてしまう可能性大です。(先ほどのボンダヴィの調査でも42%もの人が「抱負を覚えていない」と回答しています。)
ただ、好きでもなければ興味のないことでも、それがやらなければいけないことなら、外からの圧力のおかげで続けられます。
言い方を変えれば、よほど意志の強い人でもない限り、強制力のない抱負は達成できなくても困らないため、モチベーションが維持されにくいです。
最近SNSで新年の抱負を公表する人たちがいますが、世の中に自分の決意を表明することで、自分自身にプレッシャーをかけているのではないでしょうか。
また、ゴールまでの道のりが長すぎる抱負も、道半ばでモチベーションが下がって頓挫しがちです。
新年の抱負というぐらいですから、期限は最長で1年間。
チェックポイントもなければ、達成感を味わうこともなく過ごす1年は長いです。
「1年で10キロ痩せる」のではなく、「1か月に1キロずつ落として、1年後には10キロ痩せる」のように、短期的なゴールであり、チェックポイントを設定したほうが、何度も成功体験を味わえるうえに、必要に応じて軌道修正もしやすい分、達成の確率が上がります。
曖昧な内容
最初に例に挙げた「ダイエットして痩せる」は、ありがちな抱負の1つです。そして途中で挫折する人が多い抱負の1つでもあります。
原因は中身の曖昧さです。
単に「ダイエットして痩せる」だけでは、どんなダイエットをするのか、どれだけ痩せたいのかといった詳細が決まっていません。
詳細が決まっていなければ、次に何をすればいいのかわからないため、結局何もしないまま、また除夜の鐘を聞くことになるでしょう。
身の丈に合っていない
目標を高く持つことは決して悪いことではありません。
けれど、世の中にはどれだけ努力したところで、どうにもならないこともあります。
自分の能力や現状に見合っていない、または始めから無理だと分かっている抱負は掲げないにこしたことはありません。
新年の抱負を達成するには
飴と鞭
1つ目の提案は、To Do List と Bucket List の両方から選んだ計画や決意・目標を新年の抱負に混ぜることです。
To Do List(トゥー・ドゥー・リスト)
やらなければいけない・すべきことに優先順位をつけたリスト。
Bucket List(バケット・リスト)
死ぬまでにやっておきたいことのリスト。
”kick the bucket”(バケツをけって首つり自殺を図る→死ぬ)というイディオムがもとになった表現。
To Do List はたいてい楽しんでやるものではありませんが、やらざるを得ないことをリストアップしているので、達成の確率が高いです。
その上、比較的短い(1週間とか2か月)期間内に結果が出る目標が多いので、達成のたびに味う成功体験が次へのモチベーションになり、目標に向けての行動が習慣化されていきます。
ただ、自分の能力を最大限引き出そうと思ったら、成功の喜び以上のご褒美があったほうがいいでしょう。
そこで、To Do List を随時更新して新年の抱負に追加していく一方で、楽しんでできる Bucket List の願いも最低1つは抱負に混ぜます。
To Do List のおかげで習慣化の癖がつき、Bucket List のおかげで成功体験プラス楽しみも味わえることがわかれば、「楽しくはないし、やらなければいけないわけでもない」抱負も、達成しやすくなるはずです。
ツールを利用した行動計画の明確化
2つ目の提案は、新年の抱負の明確化です。
そもそもどんなプロジェクトであれ、成功するか否かは計画の質次第だと言っても過言ではありません。
そこでお勧めなのが、「新年の抱負が達成できないわけ」の項で挙げた数々の問題をカバーする
- 具体的(Specific)で
- 測定可能(Measurable)、
- 到達可能(Achievable)な上に
- 妥当(Relevant)で
- 期限のある(Time-bound)
SMARTゴールです。
SMARTゴールは、目的地(ゴール)へのロードマップのようなもので、ゴールの設定に不可欠な要素を示し、効率的にゴールに到達できるよう導いてくれる計画書のような役割も果たします。
テンプレートの記入例
「SMARTゴール」で検索すれば、書き込みのできる様々な形式のテンプレートが見つかると思いますが、ここでは私が利用しているテンプレートを使って、SMARTゴールの設定・記入方法を簡単に説明します。
*サンプルに使用している新年の抱負用のSMARTゴールのテンプレート(Googleドキュメントのコピー)はこちらからご利用いただけます。
チェックリストには
- 長期的な目標
- 長期的な目標を補助する短期的な目標
- 単独の短期的な目標
と、それぞれの期限を期限を書き、達成できたら一番右にチェックマークを入れます。
アクションプランを埋める際は、以下の点に注意します。
- 目的:できるだけ具体的に抱負の内容を書き出す
- 短期的SMARTゴールを長期的SMARTゴールを補助する目的で設定する場合は、長期的SMARTゴールの「実際の行動」がここに入る
- 期間:余裕のある期限を設ける
- ものさし・測定方法:目的および実際の行動が完了したかどうか見極める手段
- 実際の行動:ゴール到達に必要な行動のリストアップ
因みに上の例の場合、
- 長期的な目標を2つ
- 食事と運動を併用して1か月に1~2キロ、8か月で合計10キロ痩せる
- タイに旅行する
- 長期的な目標(食事と運動を併用して1か月に1~2キロ、8か月で合計10キロ痩せる)を補助する短期的な目標を7つ
- ダイエット用にカレンダーを用意する他
記載し、単独の短期的な目標については載せていません。
一見面倒くさそうですが、1度作ってしまえばあとは基本的に書かれている計画に沿って行動するだけなので、最初にじっくりと時間をかけて、詳細を練り上げましょう。
最後に
新年の抱負は立てるのは簡単でも、なかなか達成できません。
すべきこととやりたいことをうまく織り交ぜ、ご褒美や成功体験でモチベーションを上げ、詳細な行動計画に沿って行動することで、効率的・効果的に達成できるよう工夫してみましょう。
いずれにせよ、別に新年の抱負が達成できなかったからといって、この世の終わりというわけではありません。
「何が何でも達成しなくては」と思い詰めるよりも、新たな年をポジティブな気持ちで始めるちょっとしたイベントと捉えて、家族や仲間とわいわい楽しむだけでもいいと思いますよ。