伝統的なおせち料理は、地域によって少しずつ中身が異なりますが、基本的には日本に昔からある食材や調味料を使っています。
そのため、中高年にはなじみ深い味わいでも、普段ピザやハンバーガー、ラーメンやカレーライスを食べている世代の人たちには今一つ人気がありません。
私が子どもだったころは「出されたものは好き嫌い言わずに食べろ」と言われて終わりでしたが、甥っ子たち(それも2人はアメリカ育ち)が一緒のお正月に、「3日連続和風のおせちばかり食べろ」と言うのは酷です。
そこで、今回は我が家の和風おせちを、1月2日以降どんなふうに子どもたち向けにアレンジ&リメイクしたのか、その方法を紹介します。
中高年しかいないお宅のお正月に、突然小さなお子様連れのお客様がいらしたときでもスムーズにおもてなしができる知っ得です。
出雲のおせち料理
「これが出雲の定番おせちだ!」と断言することはできませんが、我が家のおせちは、自分のうちの畑で採れた野菜や豆・果実などと、出雲ならではの縁起物の食材でできています。
- かまぼこ(赤板)・あごの焼き
- 赤と白の蒲鉾は日の出を象徴
- あご(トビウオ)は水面を撥ねながら飛ぶ(飛躍する)
- だし巻き卵
- 卵は生命の象徴
- 田作り
- 昔、イワシを肥料にした田んぼは豊作だった
- 黒豆
- 出雲弁で「まめ」は「健康」
- 数の子
- 二親(ニシン)の子の数の子は子だくさん
- 紅白なます
- 色合いがお祝いの水引に似ている
- 野菜の煮もの
- たけのこ:早くまっすぐに伸びる
- にんじん・だいこん・レンコン:「ん」(運)がつく
- レンコン:将来の見通しがいい
- さといも:親芋の下に子芋、子芋の下に孫芋ができる
- 昆布:喜ぶ(よろこぶ)のごろ合わせ
- こんにゃく:手綱の形が縁結びの意味
- しいたけ:昔は神様への供物だった
- ごぼう:地中に根を張って力強く育つ
- 赤貝の煮つけ
- 対になった貝殻から、夫婦円満を連想
- 名前に縁起のいい「赤」が入っている
- 金柑の甘露煮
- 「きんかん」に「金冠」という字を当てて、金銀財宝を連想
- きんとん
- 「きんとん」に「金団」という字を当てて、金銀財宝を連想
- ブリのお刺身
- 出世魚
子ども・若者向けアレンジ&リメイク
今回ご紹介するアレンジ&リメイクでは、我が家のおせち料理の中で子ども世代にあまり人気がなかった煮物・紅白なます・ごまめ・かまぼこを使っています。
- チーズ
- カレー味
- 揚げ物
- インスタ映えする見た目
- お菓子やスイーツっぽい
この4つのどれかを押さえておけば、子どもや若者の胃袋をつかめます。
煮物がメインのアレンジ&リメイク
五目ちらし
おせち食材:
- かまぼこ・あごの焼き
- 数の子
- 煮物の野菜(にんじん・ごぼう・れんこん・しいたけ・たけのこ)
- だし巻き卵
- 紅白なます
おせち以外の食材:
- ご飯
- (お好みで)エビやでんぶなど
- (トッピング用)のり
作り方:
- 紅白なますとご飯を混ぜて酢飯を作る。
- 食材を薄切りか、酢飯に混ぜやすいサイズに切る。
- 煮物野菜を濃い味付けになるよう煮直す。
- 酢飯と食材を混ぜる。
- お好みでのりをトッピングする。
みそマヨドリア
おせち食材:
- 汁気を切った煮物の野菜(にんじん・れんこん・ごぼう・たけのこなど)
おせち以外の食材:2人分
- みそマヨソース *ホワイトソースでもOK
- 牛乳 180㏄
- みそ 大さじ1~1.5
- マヨネーズ 大さじ1
- ピザ用チーズ 適量
- ご飯 お茶碗2杯分
作り方:
- 野菜を小さく切って、ご飯と混ぜ合わせる。
- レンジで温めた牛乳にみそとマヨネーズをといて、みそソースを作る。
- ①と②を合わせ、グラタン皿に入れる。
- ピザ用チーズをまんべんなくかけ、230℃のオーブンで、チーズが溶けて焼き色がつくまで15分くらい焼く。
*牛乳を大さじ3くらいに減らしたみそマヨソースを使ったグラタンも美味です。
カレーうどん・カレーそば
年越しそばのリメイクにもなります。
おせち食材:
- 煮物の野菜(にんじん・ごぼう・れんこん・しいたけ・たけのこ・さといもなど)
おせち以外の食材:2人分
- 茹でたうどんまたはそば 2玉
- だし汁 800㏄
- だしの素 小さじ2
- 水 800㏄
- めんつゆ 100~150㏄
- 酒 小さじ1
- 固形のカレールー(市販のもの)1/4~1/2箱
- 肉(何でも、なくてもOK)適量
- たまねぎ 1/2~1個
作り方:
- 野菜を半口くらいのサイズに切る。
- 鍋にだし汁・肉・たまねぎ・煮物の野菜を入れて、玉ねぎと肉に火が通り、野菜が十分に温まるまで煮る。
- カレールーとめんつゆを少しずつ入れて、つゆをお好みの味に調整する。
- うどん・そばを入れて2~5分煮込む。(そばは短めに!)
*お好みで刻みネギを乗せてもおいしいです。
コロッケ
おせち食材:
- 汁気を切った煮物の野菜(さといも・しいたけ・にんじん・ごぼう・たけのこ・れんこん)
おせち以外の食材:
- じゃがいも
- とき卵+小麦粉(またはマヨネーズ)
- パン粉
- 揚げ油
作り方:
- じゃがいもを茹でる。
- ボールにゆであがったじゃがいもとサトイモを入れてつぶす。
- さといも以外の野菜をみじん切りにし、②と混ぜる。
- ③を小判型、または丸型に成型する。
- ④に衣をつける。
- 小麦粉→溶き卵→パン粉
- マヨネーズ→パン粉
- 180℃の油で色よく揚げる。
*じゃがいもとさといもの割合で、味の濃さが変わります。味が薄いようなら、ケチャップやソースをかけてください。
揚げ物(フライ)
つぶしたり、切ったりが面倒なら、汁気を切った煮物野菜(こんにゃく・さといも・しいたけ・たけのこなど)に衣をつけてフライに。あっという間になくなります。
紅白なますがメインのアレンジ&リメイク
バインミー
バインミーは柔らかいフランスパンを使ったベトナム風のサンドイッチです。
中の具は、お店によっていろいろですが、欠かせないのがなますです。
おせち食材:
- 紅白なます
- 田作り
おせち以外の食材:
- バゲット
- ハム・焼き豚など豚肉の料理・加工品が定番 *とり肉・牛肉・シーフードでもOK
- マヨネーズ
- バター
- (お好みで)ナンプラー
- (お好みで)チーズ・アボカド・パクチー・レタス・目玉焼きなど
作り方:
- 田作りをブレンダーなどで粉状にする。
- 田作り・マヨネーズ・(お好みで)ナンプラーを合わせてドレッシングを作る。甘めが好きなら、田作りを多めに入れる。
- バケットに切り目を入れて開き、内側にバターを塗って、トースターで3~5分焼く。
- 紅白なます・ハム・その他お好みの具材をはさみ、マヨネーズドレッシングをかけたら出来上がり。
*マヨネーズドレッシングの代わりに、スイートチリソースを使うのもグー!
*うちでは手巻き寿司みたいに、それぞれが好きな具材をはさみます。(紅白なますはマスト。)
*粉状にした田作りの残りはふりかけとして利用できます。
田作りのアレンジ&リメイク
ハニーじゃこナッツ
田作り以外の食材:
- お好みのナッツ
- はちみつ 大さじ1~2
- 水 大さじ2程度
作り方:
- ナッツを少し砕いて、フライパンでローストした後、1度皿に取り出しておく。
- フライパンに田作り・水・はちみつを入れ、中弱火で加熱する。
- はちみつ水がふつふつと煮立ったら、ナッツを加えて素早く混ぜる。
かまぼこ・あごの焼きのアレンジ&リメイク
かまぼこ・あごの焼きのチーズ挟み焼
かまぼこ以外の食材:お好みのチーズ
作り方:かまぼこの間にお好みのチーズをはさんでオーブントースターで軽く焼くだけです。
最後に
今回は、出雲地方の伝統的なおせち料理を、他の食材とひと手間を加えて、子どもや若者向けにアレンジ&リメイクする方法を紹介しました。
「子どもが食べないから」と、始めから洋風や中華風のおせちを準備するのではなく、まずは伝統的なおせち料理を紹介し、その後それをアレンジ・リメイクして食べてもらえたらと思います。
元日本語教育関係者としては、日本のお正月文化の1つであるおせち料理を、その意味とともに次の世代に伝えたいと願ってやみません。
\洋風のパーティ料理なら/